不動産に関わるサービスを提供するアフリカのスタートアップ4選

4月 20, 2018注目スタートアップまとめ,ケニア,チュニジア,ナイジェリア,モザンビーク,不動産

​​外国人にとってアフリカでの家探しはかなり大変だ。日本とシステムは異なるし、オーナーによって支払いタイミング、支払い回数、前払い金など、これらすべてを交渉して折り合いをつけていかないといけない。これがまたかなり困難を極める。

筆者の友人は、安くて、安心な家を探すために、Airbnbを利用して複数物件に泊まり、その中で実際に価格面でも納得でき、気に入った物件を探し出し、実際にAirbnbで泊まった後に、実際にここに住ませて下さいとオーナーに直談判し、住む場所を決めていた。そのようにした理由としては、家を探す前に、安心できるエージェントを探すことに時間が掛かってしまうからである。そのためそもそも家探しが始まらない。エージェントによっては、かなりの手数料や賄賂を求めてきたリするので、エージェント選びにも本当に注意が必要だ。

やはりアフリカでビジネスをする際にはいかに「安心」を担保することができるか。これが最も重要な要素であるように思える。徐々にネット接続率が上がってきているアフリカで、その「安心」の役割をインターネットが担いつつある。

今回は、アフリカで不動産ポータルや、住宅ローンの比較サービスを提供するスタートアップを4つ紹介する。

アフリカで不動産関連のサービスを提供するスタートアップ

e-codi

まず一つ目はケニア発のサービスでオンライン上で不動産のプラットフォームを提供するe-codiである。e-codiはオンライン上での不動産の販売、賃貸を可能にしている。それだけでなく、オンライン上でテナントの募集をかけることができたり、不動産管理者が現在の賃貸状況をオンライン上で確認できる機能や、オンライン上でリース手続き、支払い、請求書発行を行ってくれるサービスを提供している。すべてがオンラインで完結するのである。

現在もほとんどのエージェント、オーナーは、紙ベースの取引をしていたり、昔から使われている古いソフトウェアを使って管理している状況がある。それらの手続きを完全にオンライン上で済ませてしまうのが、e-codiのサービスなのである。

Logis

Logisはチュニジア発の不動産ポータルサービスを提供するスタートアップである。このオンライン上のポータル一つで、掲載されている家付近の情報、家、アパートメントの賃貸、販売情報、地元の不動産エージェント情報、不動産のマーケットプレイスや、トレンドなどの情報をオンライン上で伝えることで、ユーザーがどの物件を、どこで、いつ借りられる、もしくは購入できるのかを明らかにしている。情報の非対称性をなくし、どうしてもオーナー側に偏ってしまう情報を提供することで意思決定を行いやすくしている。

また、Logisは不動産オーナー向けに顧客の管理、取引を簡単に行うことができるCRMツールを開発している。

PayMyRent

PayMyRentは自分たちに適した金利の住宅ローンを一括で探すことができるプラットフォームを提供するナイジェリア発のスタートアップである。

名前、性別などの基本情報と、住所、勤務先、連絡先などの情報、そして借り入れたい額をを入力し、PayMyRentに申請すれば、1時間以内に複数の会社から、ローンの金利など、詳細情報が記載された見積もりが送られてくる。送られてきた見積もりをもとに自分の返済計画と相談して、自分に見合ったローンを組むことが可能になる。

かつては、住宅ローンを借りたい場合、多くの住宅ローンを提供する会社を自力で、もしくはインターネット上(ほとんど正確な情報はのっていない)でなんとか探すという方法しかなく、借主にとって大きな負担となっていた。また、ウェブ上で見積もりを出してくれる会社などないので、直接それらの会社に出向き、かなり人力で情報を集めないといけない状況であった。つまり、情報が集まりにくいため、少し金利が高くても、そこから借りざるを得ない状況であった。

創業者であるOgunyemi氏は、そのような背景から、複数の見積もりから、借主が自分に見合った住宅ローンを組めるよう住宅ローンを比較できるサービスを提供するプラットフォームを設立したという。

PayMyRentを通して住宅ローンの契約が行われた場合、PayMyRentには手数料が入る仕組みになっている。

またPayMyRentでは、Ajo Shemeと呼ばれるプランもあり、このプランでは、10ヶ月分の家賃の90%をPayMyRent側に前もって振り込めば、PayMyRent側で、オーナーもしくはユーザーに家賃分のお金を振り込んでくれる。

このサービスでは先に10ヶ月分の家賃の90%を頂く代わりに、PayMyRent側で10%を負担するというサービスだ。先に頂いたお金は投資運用に利用され、その運用益が10%の支払いに回される。しかし、もし途中で引き出したいとなったとき、引き出すことは可能だが、PayMyRent側による10%負担はされなくなる。

前もって10ヶ月分の家賃の90%のお金を預けることで家賃が安くなり、前もって預けることで、家賃が支払えなくなるという心配もなくなるという価値を提供するサービスだ。

casamozambique

casamozambiqueは簡単に言ってしまえば上述したサービスをすべて組み合わせたものになる。賃貸物件のリスティングが載っているオンラインポータルサイトである一方で、Barclaysとの​提携により、住宅ローンの提供も開始した。住宅ローンの手続きを簡素化することによって、より多くの人が家を購入する、もしくは借りる機会を増やしていくことが目的だ。

またそれらだけでなく、引っ越し業者をオンライン上で探すことができたり、生活ライフスタイルに関するマガジンを発行したりと、生活に関わるところはほとんど網羅していると言える。

モザンビークの観光情報が載ったガイドブックをダウンロードすることができたり、ニュースもサイト上で見ることができる。賃貸物件の情報を載せた不動産ポータルサイトから、生活メディアへとより多くの人に寄り添うサービスを提供している。

最後に

アフリカでは、「安心」を担保することが、鍵になるのは間違いない。上記不動産サービスのようにユーザーにとって安心を担保し、便利なサービスを提供できるかがポイントになる。特に、不動産という大きな買い物をする際には安心できる情報かどうかはとても重要だ。上記サービスがそれらを証明していくことになるだろう。

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