プラスチックゴミの山=宝の山⁉ナイジェリア発スタートアップが「ゴミ輸出」で売上110万米ドル
”ゴミ輸出”のシステムを構築
2018年にChime Okwuokenye, Rob Homan, Molawa Adesuyiによって設立されたRecyclan社は、プラスチック製品のリサイクルによってアフリカの二酸化炭素排出量の削減と環境保全を目的に掲げている。
Recyclan社はモバイルアプリを活用して人々にビーチや埋め立て地をはじめとした場所でプラスチック製品の回収を呼びかけ、これに協力することで医療保険、生理用ナプキン、学費の補助などを提供する。
回収されたプラスチックは顧客の要望に沿って処理され、北米、ヨーロッパ、アジアに輸出されていく。創業メンバーのAdesuni氏によると、Recyclan社はこれまでに乗用車1,500台相当の2,500トンのリサイクルを行った。「プラスチックゴミは私たちの大地を破壊し、海を汚染し、海の生物を殺した上、地球に深刻な悪影響を及ぼしている」と彼は語る。「アフリカはプラスチックゴミへの対策が最も遅れている。これは環境にとっては毒だが、利用できさえすれば、利益を生む可能性を秘めている」
Recyclan社はこのゴミを輸出品として利用することでこのスキマ産業を担う。「プラスチックゴミは世界で注目される問題となっているのにも関わらず、リサイクルを手掛ける企業は少ない。これはその数社がお互いに取引をしていることを意味する」とAdesuni氏。
これまでにゴミの回収をアフリカ大陸に広く拡大し、現在はナイジェリア・ガーナ・ベナン・カメルーン・ケニア・タンザニアなど9ヶ国に拡大している。
リサイクルの意識をもった”人的資本”への投資
「あの地域がゴミの収集に合意すればこちらも、というように、アフリカ全土に広がっている。テクノロジーを駆使して、アフリカ全体にプラスチックのリサイクルのモデルを浸透させる予定。私たちの事業はアフリカで人的資本に投資すること。これによって今までアフリカになかったリサイクルの文化を生み出そうとしている」
Recyclan社はイギリスに独自の製品を加工するための工場を建設し、利益を伸ばしている。同社は既に110万米ドルの売り上げを記録し、40%の非常に高い利益率を出している。
https://disrupt-africa.com/2020/05/nigerian-startup-recyclan-establishes-pan-african-presence-by-exporting-waste-globally/
会社名 | Recyclan |
設立年 | 2018年 |
創業者 | Chime Okwuokenye, Rob Homan(イギリス), Molawa Adesuyi |
展開国 | ナイジェリア・ガーナ・ベナン・カメルーン・ケニア・タンザニア・リベリア・コートジボワール・ジンバブエ |
領域 | リサイクル |
サービス | プラスチックゴミの回収・輸出・リサイクル |
解決する課題 | 環境問題・ゴミ問題 |
独自の強み | ゴミを回収する公的サービスがないエリアへの進出 |
調達金額 | 非公開 |
ウェブサイト | https://recyclan.com/ |
連絡先 | +447447900445 wecare@recyclan.com |
SDGsの達成にも貢献するリサイクル事業
2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」通称SDGs。Recyclan社の掲げる「リサイクルが必要な理由」はSDGsの17の目標と多くの共通点がある。
SDGsの中には、貧困に関わる目標、地球環境に関わる目標、経済成長に関わる目標が含まれている。Recyclan社の事業は、リサイクルで地球環境を改善を目指すだけでなく、現地に雇用を生み、保健衛生のサービスにアクセスできない層にリサイクルの対価としてサービスを提供するなど、リサイクルだけにとどまらない影響力があるといえる。
Recyclan社公式サイトによると、同社は既に730の新たな雇用を創出、今後も事業の拡大に伴いアフリカ全土で新たな雇用を生むことが期待されている。
さらに、同社はFacebookなどを活用し、リサイクル製品表示についての理解をより広めるための活動を行っている。
アフリカ諸国では、一部の都市機能が発達している場所を除いて、ゴミの収集のシステムが機能していないのにも関わらず、ペットボトルやプラスチック包装された食品が売られるようになり、プラスチックゴミの処理は社会問題化している。
アフリカ各国にペットボトル飲料を販売するコカ・コーラ社はRecyclan社のリサイクル事業の一旦を担うなど、ビジネスの展開と企業の社会的責任を両輪で考える動きが広がっている。