低価格で質の高い医療を提供し、早期治療を~Access Afya~
保険証を出せば医療費の負担が3割で済むのは、国民皆保険が整備された日本ならでは。
国民の収入が少なく、公的保険のシステムが整っていない国では「病院へ行く」という行為自体が、経済的に豊かな人の特権だ。
ケニア発の医療スタートアップAccess Afyaは、より多くの人がAfya(健康:スワヒリ語)にアクセスできる環境を目指す。
質の高い医療を低価格で
急激な人口増加と地域格差の拡大によって、都市部の生活環境はより人口密度が高く、衛生環境に乏しくなる傾向にある。
ケニアではキベラスラム、ウガンダではキセィニースラムなど、大都市の一角のスラムに密集して暮らす人々がいる。世界的に見ると、全人口の50%が1日5ドル以下の生活を余儀なくされている。
Access Afyaが目指すのは、スラムに住む人たちでも利用可能な金額で、質の高い医療を提供すること。
必要とする人が医療機関へのアクセスを躊躇することは、疾病の早期発見を妨げ、重症化を招く恐れがある。
この問題を解決すべく、2012年、アメリカ出身のMelissa Menke氏によってAccess Afyaは設立された。
【主要事業】
①クリニック運営
一般外来診療や子どもの予防接種、応急処置などを行っており、毎日営業している。保険や貯蓄などの健康融資のためのオプションも実施し、カルテは全て電子化。1回の受診で平均4ドルほどの料金設定。
②小売薬局の運営
安全な医療を提供する第一歩として、有資格者のスタッフが薬の処方や健康に関するアドバイスなどを行う。また、患者は必要に応じ、遠隔医療を通して診療所にアクセスし、多様なサービスと迅速な検査を受けることが可能となる。購入履歴などは電子データとして残している。
③モバイルヘルス
工場や学校へ出向き健康診断を行う。基本的な医療サービスを提供している。また、手洗いの指導や虫よけ対策、学校内の衛生指導など実践的な指導を行っている。子どもたちへの指導を通してコミュニティ全体の公衆衛生レベルの向上が期待できる。
④データの収集
診療した患者や診断、経過、薬の購入履歴などをデータとして記録する。これにより患者との継続した関わりやサービスの効率的な運用が可能となり、市場の把握にも役立つ。
今後の目標として、政府と提携しケニアに一般的な健康保険を確保すること、2020年までに55箇所に拠点を拡大することなどを掲げている。
事業拡大は、雇用の面でもプラスの効果をもたらしている。
Access Afyaで働いている人の95%がケニア出身、そのうちの約3分の1がスラム街出身だ。
会社名 | Access Afya |
設立年 | 2012年 |
創業者 | Melissa Menke氏(アメリカ) |
展開国 | ケニア |
領域 | 医療 |
サービス | クリニック経営・薬局経営・出張診療 |
解決する課題 | 医療水準の低い低所得層に対する医療の提供 |
独自の強み | 地域密着・現実的な値段設定 |
調達金額 | 2020年5月MIT Solveより90,000米ドル(https://disrupt-africa.com/2020/05/kenyan-e-health-startup-access-afya-among-first-to-receive-funding-from-mit-solve/より) |
ウェブサイト | https://www.accessafya.com/ |
連絡先 | info@accessafya.com +254 790 509972 |
〇参照サイト