BOP層の人でも金融サービス利用を可能にするIoT火災探知機を提供する「Lumkani」
南アフリカのスタートアップであるLumkaniは、シードラウンドで金額非公開の資金調達を実施した。
Accion Venture Lab、Lireas Holdings、4Di Capitalが今回のシードラウンドで出資を行っている。
Lumkaniは今回の資金調達によって、商品レンジの拡大、更なるエリアへのサービス拡大を行っていく。
2015年に設立されたLumkaniは、スラム地域に住むBOP層の人達向けにIoT火災探知機を販売するスタートアップだ。IoT火災探知機の導入によって、彼らの生活、避難所、資産の喪失を保障する火災保険サービスの提供も可能にしている。
このサービスが提供される背景には、スラム地域に住む人達の火災リスクの高い生活環境が挙げられる。
スラム地域に住む人達は、経済的に電力サービスにアクセスするための資金がないこと。もしくはそもそも配電網が整っていないために電力サービスに享受できていない現状がある。
彼らは、食事を作るためにガスを利用するのではなく、石炭を使用し家庭内で火をおこすことで調理を行っている。
さらに、夜になると配電網が整っていないため電気のない暮らしを余儀なくされている。
子供が勉強するときなど、どうしても明かりが必要になる時には石油ランプを利用することで火を灯し、明かりを賄っている。
こういった現状から、スラム地域は通常の家庭と比べて火災のリスクが非常に高い状況にある。
それぞれの簡易小屋が密集しているため、火災が起こってしまうと近隣の小屋にも瞬時に広まってしまい取り返しのつかないことになってしまう。
実際に南アフリカでは、先月の5月頭に南アフリカのケープタウン市内にあるカエリチャと呼ばれるスラム地域で火災が発生し、8人の方が亡くなり、火災の影響により22名が住む場所を失ってしまうという事件があった。
カエリチャでは2013年にも、同様の火災事件が発生しており、800を超える簡易小屋が火災の影響で全焼し、4000名を超える方が家を失い、住む場所がなくなってしまうという事件が発生している。
こうしたスラムエリアでは、火災のリスクが高く、2018年現在も火災が発生していることからも適切な対処が行われていない現状がある。
IoT火災探知機が収集するデータでBOP層の人達に金融サービスを提供
Lumkaniはこうしたスラム地域の火災リスクを軽減するために、IoT火災探知機を10米ドルで販売している。
Lumkaniが提供するIoT火災探知機は、部屋内の温度を熱感知センサーによって収集し、そのデータをもとに火災発生のリスクを事前にアラートする。
また、IoT火災探知機の導入によって、金融サービスへのアクセスも可能にする。
LumkaniはIoT火災探知機によって収集されるデータをもとに火災保険サービスも提供しているのだ。
それぞれIoT火災探知機から収集されたデータは保険金請求時に利用され、熱感知センサーの情報、地理データといったデータをもとに適切な保険金が算出される仕組みとなっている。
BOP層の人達向けにIoT火災探知機を導入することで、彼らの生活に関するデータを収集することできるということがこのサービスの根幹となる重要な部分となっている。
収集されるデータによって、信用スコアを算出することが可能になり、BOP層の人達はLumkaniが提供する火災保険といった金融サービスにアクセスすることが可能になる。このデータをうまく活用することで、火災保険サービスだけでなく、その他の金融サービスにもアクセスすることができるようになるだろう。
また、IoT火災探知機は、同じくIoT火災探知機を導入している60メートル以内の近隣住民から収集した情報と接続し、その利用者の近隣で火災リスクがあるかどうかをテキストでお知らせする機能も搭載している。
スラム単位で導入を進めることで、そのコミニティ内全体の火災リスクを管理し、コミニティ全体での火災リスク軽減を可能にしている。
LukmaniはIoT火災探知機の導入によって事前にリスクをアラートし、そもそもの火災発生リスクを抑えると同時に、関連する金融サービスを提供することで彼らの生活リスクを軽減しようと取り組んでいるのだ。
BOP層向けに新たな信用スコアの算出を可能にし、彼らに対して金融サービスの提供を可能にするLukmaniのサービス展開に今後も目が離せない。