世界経済フォーラムの「The Technology Pioneers cohort of 2018」に選出されたアフリカのスタートアップ3選

注目スタートアップケニア,フィンテック,プラットフォーム,ヘルスケア,モロッコ

世界経済フォーラムは、AI、自動運転、サイバーセキリティ、フードロス、ブロックチェーン、ファイナンスの分野において、最新のテクノロジーとイノベーションによって社会課題を解決する先駆け的なアーリーステージのスタートアップを61社選出。

世界経済フォーラムは、経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界・地域・産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組む、独立した国際機関。スイスのジュネーヴに本部を置き、非営利財団の形態を有している。1971年にスイスの経済学者クラウス・シュワブにより設立された。 Wikipediaより

61社のスタートアップは「The Technology Pioneers cohort of 2018」に参加し、2年間に渡って、世界経済フォーラムが開催するイベントへの参加、意見交換を行う。それぞれの事業推進を加速させ、社会問題の解決に取り組んでいく。

今回のThe Technology Pioneers cohort of 2018に選出された61社のスタートアップの内、アフリカ発のスタートアップが3社含まれていた。

AF TECHでは、今後の社会を変革しうるアフリカ発のスタートアップ3社を紹介したい。

The Technology Pioneers cohort of 2018に選出された3社

The Technology Pioneers cohort of 2018 で、ケニアのスタートップからBitpesaとCarepay。モロッコのスタートアップからWaystoCapが選出された。

それぞれどのような課題に対して、どのようなサービスを展開しているのか紹介する。

Bitpesa

・会社名: Bitpesa

・設立年: 2013年

・創設者: Amy Ludlum氏、Charlene Chen氏、Elizabeth Rossiello氏

・調達額: 1000万米ドル

・領域: ブロックチェーン×国際送金

・サービス: クロスボーダーB2Bデジタル送金プラットフォーム、仮想通貨ウォレット、国際送金サービスAPI

・解決する課題: グローバル化によってクロスボーダーの取引が増え国際送金の必要性が高まっているが、銀行による国際送金だと送金手数料が高く、かつ送金に時間がかかる。



Bitpesaはブロックチェーン技術を活用することで、通常の銀行による国際送金と比較して圧倒的に安価な手数料で素早く国際送金を行えるサービスを展開している。

Bitpesaが手数料を徴収するのは法定通貨からビットコインに変換する際の3%の手数料のみ。現地の法定通貨でBitpesa側に支払えば、Bitpesaがビットコインに変換し、受け取り側の国にあるBitpesaの代理店に送金。受け取り後はBitpesaの現地代理店がビットコインからその国の法定通貨に変換し、依頼されていた支払先に送金される仕組みになっている。

また、直近ではオンライン上で完結する国際送金サービスを展開するスペインの企業「TransferZero」を買収し、ヨーロッパでの金融業運営のライセンスを取得した。アフリカ内にとどまらず、ヨーロッパへもサービス範囲を広げている。

現在、アフリカ内では、ケニア、ガーナ、ナイジェリア、セネガル、タンザニア、ウガンダ、コンゴ共和国でサービスが運営されている。

Carepay

・会社名: Carepay

・設立年: 2015年

・創設者: Jagi Gakunju氏

・調達額: 161万米ドル

・領域: ヘルスケア×モバイルウォレット×保険

・サービス: モバイルウォレットを使用した医療費の積み立てサービス

・解決する課題: ケニアのBOP層を中心に国の健康保険に加入することができている人が少なく、加入者数は20%に満たない。貯蓄の習慣、金銭的余裕がなく急な怪我や病気の時に支払う診察費がない。



Carepayは、国民保険の加入率が低いという問題に対して、医療用の資金として積み立てることができるモバイルウォレットサービス「m-tiba」を提供している。ウォレット内に医療費用のお金を積み立てておくことで、万が一の時でも積み立てたお金を使って診察を受けることができるようになる。

m-tiba内に100ケニアシリング(日本円で約110円)以上の貯金があれば毎月50ケニアシリングがもらえるボーナスや、何か病気やケガになってしまった時に、最大8000ケニアシリングの医療費サポート受けることができるサービスを用意し、利用者をうまく囲い込んでいる。

現在、ケニア内で400を超える病院やクリニックと提携しており、利用者はm-tiba上で積み立てた医療費から診察代を支払うことができる。m-tibaの普及によって病院側も確実にお金を受け取れるためメリットが大きい。それだけでなくm-tibaと提携することは集客効果も期待できるだろう。

WaystoCap

・会社名: WaystoCap

・設立年: 2014年

・創設者: Anis Abdeddine氏、 Aziz Jaouhari Tissafi氏、 Mehdi Daoui氏、 Niama El Bassunie氏

・調達額: 310万米ドル

・領域:EC

・サービス: アフリカ内の企業がクロスボーダーでの商品売買を可能にする登録制のB2Bマーケットプレイス、配送、輸送管理、決済機能

・解決する課題: サプライヤーとバイヤー間の情報の非対称性が大きく、信頼に値する取引相手なのか判断することができない。決済方法が仕組み化されていないため安心して取引することができない。他国への商品の配送手配にかなり手間がかかる。



WaystoCapはアフリカ内で国を超えて商品を買いたい、売りたい企業を対象に完全登録制のB2Bマーケットプレイスを提供している。バイヤー、サプライヤーともにWaystoCapに登録申請し、許可が下りなければプラットフォーム上で取引できない。

WaystoCapによるスクリーニングが行われた企業のみがプラットフォーム上で取引を行うことができ、サプライヤーに対して売上金の保証、バイヤーに対しては購入商品に保険(紛失補償)をかけることでどちらも大きな損害を被ることがない仕組みを構築し、企業にとって安心に取引できるプラットフォームになっている。

WaystoCapは2017年のYcombinatorの冬バッチを卒業している