コロナ前比+183%!?ロックダウン中に業績を伸ばしたアフリカスタートアップ

6月 25, 2020コラム,編集部のおすすめwithコロナ,エチオピア,ケニア,南アフリカ

新型コロナ感染拡大による影響で、世界的に経済が停滞している。アフリカ各国は早期に国境の封鎖、都市のロックダウンに踏み切り、多くの業種が打撃を受けている。その状況でも、売り上げが急増したり、新たな資金調達に成功したアフリカ発のスタートアップがある。今回はその中からウガリストのライターが注目するスタートアップを5つピックアップしてご紹介。

家庭学習を補助、エチオピア発教育スタートアップ

(画像:http://www.accelerated.co/

エチオピア発の教育スタートアップAcceleratedは、もともと教員向けのコーチングプログラムを提供していた。既存の教員研修の意義に疑問を持ったことからスタートし、教員に対してアクティブラーニングなど最新の教授法も踏まえながら一対一の研修を行ってきた。

新型コロナの影響を受けてロックダウンや学校閉鎖が決まると、Acceleratedは新スマートフォンアプリ“Parentsy”をリリース。保護者が子どもの家庭学習をサポートするためのアプリで、利用者は日を追うごとに増え、毎日1000人以上が利用するアプリとなった。

Accelerated CEO・Shankar氏は「国や地域のカリキュラムに沿って教えられているため、”何を”子どもに勉強させるべきかを知るのは難しいことではない。しかし、エチオピアだけでなくアフリカ全体では、”どうやって”子どもに教えるかを知るのは不可能だった」と語っている。

パンデミック下で14万米ドル資金調達:南アフリカSyafunda

Syafundaは現地語で"We are learning." テクノロジーを使って教材不足の問題解決に取り組む南アフリカのSyafundaがロックダウンの最中ながらEdge Growth社から14万米ドルの資金調達を受けることで合意した。

(写真:https://syafunda.co.za/

Syafundaの創業者は理数科教員のNgubo氏。自身も慢性的な教科書不足の環境で育った。Ngubo氏は、南アフリカの高いスマートフォン普及率に着目し、オンラインで教材にアクセスできるデバイスを学校に設置する事業を行っている。

5テラバイト分の教材がプリインストールされているこのデバイスにはテザリング機能がついていて、たとえ電波が微弱でも、まったく電波の届かないエリアでも、このデバイスの発する電波が届く範囲であれば教材を自分のスマートフォンやタブレット端末にダウンロードすることができる。新型コロナの影響で自宅学習を余儀なくされる生徒が増え、教室では隣の席の生徒と共有していた教科書の不足はさらに顕著に学習に影響を与えるようになり、Syafundaデバイスの需要はさらに増している。

現在このデバイスは57の学校に設置されており、今回確保した資金で国内全土に設置を急ぐほか、出版社などとの交渉にもさらに力を入れ、提供できる教材の数を増やす計画だ。

宅配需要急拡大で追加資金獲得

2015年にエチオピアでサービスを開始したDeliver Addisは、レストランやマーケットから料理・酒類・花をはじめ日用品や野菜などのバイクによる配達を行っている。配達先までの距離に応じて配達料が加算され、1時間以内に配達される。

追加資金調達の額は発表されていないが、提携するレストラン・スーパーマーケット等の数を現在の100から大幅に拡大し、さらに配達対応範囲を広げる計画だ。

追加投資を行ったRENEW社CEO・Matthew Davis氏はパンデミック下でのDeliver Addisのサービスの重要性を改めて強調する。宅配サービスによって人々は外出を減らした生活をストレスなく送ることができるだけでなく、直接的にも間接的にも、何百もの雇用を維持する作用を果たしている。

外出制限で在宅診療の利用者増、PCR検査も

ケニアで今年3月に在宅診療サービスを開始したTIBU Healthは新型コロナパンデミックの影響で、サービス開始直後から利用者が急増している。スマートフォンアプリで症状を入力し診断をリクエストするとすぐに近隣の医師や保健師とマッチングし、症状の確認の電話のあと自宅に医師が自宅に訪問、診察する。

(写真:https://tibu.africa/home

医師は診断に必要な医療器具や20種以上の簡易検査キットを持参するため、たいていの病気はその場で診断が可能だ。また、病院に出向く場合よりも待ち時間が格段に短くなるというメリットもある。新型コロナ感染が疑われる症状がある場合は感染対策をした医師が訪問し、7,000Ksh(約7,000円)でPCR検査を受けることもできる

外出制限によって自宅に留まる時間が長くなったことに加えて、怪我や慢性的な病気の診察のために病院へ行くと新型コロナに感染するのではとの懸念から在宅診療サービスが注目されている。

また、風邪をひいた、怪我をしたという場合に訪問診療を受けられるのはもちろん、妊婦の定期的な検診や障がい者や高齢者の在宅介護など継続した医療サポートを受けることも可能だ。

おうち時間を楽しくするのは、あの有名人!

新型コロナパンデミックの影響で南アフリカ政府は3月23日にロックダウンを宣言。このロックダウン開始後、南アフリカでウェブサイトへのアクセスを492%、売り上げを283%まで伸ばしたスタートアップがある。

MyFanParkは南アフリカで起業し、すでにドイツやスイスにサービスを拡大しており、近くインドと西アフリカエリアにも進出予定だ。MyFanParkが提供するのは、好きなミュージシャン・スポーツ選手・インフルエンサーなどありとあらゆる有名人から「あなたのためだけに」ビデオメッセージをもらえるというサービス。

好きな有名人をサイト上から選び「誰に向けて」「どんなメッセージが欲しいか」をフォームに入力し、支払いを済ませる。友人や家族の好きなアーティストに誕生日メッセージを依頼をするも良し、自分の好きな俳優のビデオメッセージで毎朝目覚めるも良し。依頼の内容によっては有名人に断られてしまう場合もあるが、好意的なメッセージであれば、7日以内に録画されたビデオメッセージが手元に届く。

暗い外出制限の期間を明るくしようと、有名人にメッセージの依頼が急増。また、練習も試合も中断になってしまったスポーツ選手・収録がなくなった俳優など次々と有名人がサインアップし、その数は南アフリカ国内だけで300を超えた。メッセージ依頼はコロナ前と比較して、なんと959%にもなった。