家畜の売買プラットフォームを運営する「Cowsoko」CEOにインタビュー
個人的に酪農業界を調査する中で見つけた面白そうなサービスがある。そのサービスとは、家畜の売買プラットフォームを運営する「Cowsoko」というサービスだ。
酪農業界を調査していなければ、家畜の売買プラットフォームがあるなんて知ることもなかっただろうし、そもそも興味も持たなかっただろうと思う。
このサービスを知ってから、家畜はどこから購入することができて、流通されているのだろうと興味を持つようになった。
少し調べると、Facebook上で牛や羊を売りますといった投稿を多く見るようになり、家畜売買のマーケットの大きさを感じたのを覚えている。
今回は「Cowsoko」を運営する創業者のDictor氏にインタビューを実施し、どのように運営されているのか、収益構造はどうなっているのかお話をお伺いすることができた。
サービス開始のきっかけは何だったのか
創業者のDictor氏は大学で動物学を学んでいた。将来の働き先としても動物を扱う業界で働きたいとは思っていたという。大学卒業後、何か動物を扱う業界でビジネスの種がないか調査をしていた時に家畜の売買がかなり原始的であることがわかった。家畜を売りたい人と買いたい人を効率的につなぐことができていなかったのである。当時、家畜を売りたい人は、知り合いで家畜の輸送を行うことができる人に販売し、その輸送を行う人が、家畜を販売しているブローカーに販売する。そのブローカーが家畜購入希望の人へと販売していた。家畜を売りたい人と買いたい人の間に2、3の業者が介入し、家畜の値段を押し上げていたのである。
この原始的な取引市場を発見し、Dictor氏は家畜売買のオンラインプラットフォームを開始するに至った。
Cowsokoのサービスとは
Cowsokoとは、家畜の売買プラットフォームを運営するサービスで、オンライン上で家畜の販売、家畜の購入を行うことができるプラットフォームである。
Cowsoko上には、乳牛、牛、羊、山羊、ラクダ、ロバがリスティングされている。それぞれ種類、体重、出身国、所在地、性別、値段が記載されている。
それぞれの家畜には、写真も掲載されており、購入者側は写真からも判断することができる。もし、その家畜を気に入った場合には、電話をかけることができ、詳細について直接電話で聞くことができる。
また、気に入らなかった場合は、自分がどのような家畜を求めているのか。詳細を伝えることができ、Cowsokoがお探しの家畜を見つけるのを手助けしてくれる。
どのような収益構造なのか
創業者によると、収益構造は手数料モデルになっていて、家畜の種類によって手数料は異なる。
乳牛であれば、プラットフォーム上に掲載されている家畜の中でも高額なリスティングになるので、3-5%。
同じく牛(ビーフ)も高額なため、5-7%。
羊やヤギは乳牛、牛に比べると販売額が少額なため、手数料は10-15%を徴収している。
家畜の流通量はどれくらいなのか
プラットフォーム上では、月間平均で800頭の家畜が流通されている。
一番流通量が多いのは、羊と山羊で、月間平均オーダー数のおおよそ9割5分が羊と山羊だ。
乳牛や牛の流通量は少なく、月で多くて5-6頭ほどだとのこと。
月間の800オーダーの内、300頭ほどは羊と山羊の輸出業者に販売されているとのことだ。業者への販売の場合は、紙ベースでリストを渡し、業者は欲しい家畜を選択して購入している。
Cowsokoは購入後の配送もサポートしている。配送は羊と山羊を複数頭買った場合のみ限定で行っている。配送料はトラックのリース料/家畜の頭分徴収している。配送料は1頭につきおおよそ200Kes程だとのことだ。
勝手に利益を計算してみた
上記手数料と流通量の情報を元に、おおよそ年間の利益がどれくらいなのかを勝手に計算してみたいと思う。
家畜の流通量は月間800頭。そのうち9割9分が羊と山羊だ。リスティングを見ると、羊と山羊はそれぞれ3500Kes程で売買されているため、1頭につき3500Kesとして計算する。月間流通量は792頭。Cowsokoの販売手数料は15%として計算する。
一方乳牛や牛は月間流通量の内の0.1割。1頭につきおおよそ5万Kesで販売されていて、月間の流通量は多く見積もって8頭だ。乳牛、牛に関しては手数料5%として計算する。
羊、山羊による営業利益は41万5800Kes。乳牛、牛による営業利益は2万Kes。
上記合計すると月間の営業利益は多めに見積もって43万5800Kesとなる。年間の営業利益だと約600万Kesが営業利益となる。
今後、プラットフォーム上で乳牛や牛の売買が盛んになれば、大きく利益を見込めることになるだろう。
Cowsokoの将来プラン
Cowsokoが今後力を入れていくのは牛の売買だと創業者も話している。Cowsokoが目指す将来像としては、実際に牛(ビーフ)を欲している肉屋さんではなく、1消費者向けに、牛の部位を選び、その部位を販売することができるようになることを目指している。
消費者は肉屋さんから、肉を買うのではなく、オンライン上で直接フレッシュな牛肉の部位を選択し、家まで配達してもううことができる。
これらを実現するためにも、月間の流通量を最大化することができるよう、多くの農家にアプローチし、まずはサービスを知ってもらうように活動している。