貨物スペースをシェアリングするアフリカのスタートアップ6選
アフリカでもシェアリングエコノミーの波が来ている。アフリカの中間所得層にとってはすでにUberやAirbnbなどのサービスは一部の人には浸透しつつある。実際に筆者もケニアを訪問した際にはAirbnbを使うことがほとんどだ。
彼らの日常生活を垣間見ることができるし、仕事が終わったら何をするのか、休日は何をするのかなど、彼らがどのような生活リズムを行っているのかを知ることができることは何か現地で何かビジネスを始めたい人にとって、大きなヒントになるだろう。また、Uberを乗っていた際にも、ドライバーから、「日本の中古車の修理の仕方を教えてくれ。」と言われた。サービス利用中に様々なビジネスチャンスが転がっていることを実感することができる。
まだまだアメリカや日本のように、安全面を担保するという側面から、服を借りたり、一般の人の車を借りたりといったことを実現するサービスはでてきていないが、アフリカはアフリカで新しシェアリングエコノミーの形を表現し始めている。
それが今回紹介するトラックや、船、飛行機の空いてるスペースと荷物を送りたい人、企業をマッチングするサービスである。
それらに加え、詳しくは後述するが、旅行者のキャリーバックの空いているスペースと荷物を送りたい人をマッチングするサービスも出てきている。そこの隙間までマッチングするのかと思うかもしれないが、なかなか海外の商品を買うことができないアフリカの人にとって、このサービスが海外の商品を買い、キャリーバックの隙間に入れて持って帰ってきてもらうことができる数少ない機会なのである。
さて、詳しく各サービスを見ていこう。
空いている貨物スペースをマッチングするアフリカのシェアリングエコノミー
EmptyTrip
EmptyTripは荷物を送りたい人と、荷物を運ぶ人をマッチングするサービスである。荷物を送りたい人は、EmptyTripプラットフォーム上のリスティングに表示されている、出発地、行先、輸送形態(大型トラック、船、飛行機)、価格を参考に数あるリスティングの中から自分の条件に合うリスティングを入札することができ、購入できればその空いてるスペースに荷物を搭載し、運んでもらうことができる。
輸送を担う側にとっては、上記であげた条件を記載し、EmptyTripのサイト上にアップロードすれば、トラック等の開いてるスペースを無駄にすることなく、輸送を行うことが可能になったのである。
EmptyTripは上記、荷物を送りたい人と、荷物を送る人をマッチングし、輸送が完了すれば、両者から半分づつ手数料を頂くモデルとなっている。
この輸送業界においては、一度荷物を送った後、帰ってくる際にはほとんど荷物を何ものせず、そのまま帰ってくる非効率かつ、機会損失な状態が課題としてあった。そこをオンラインでマッチングすることで、送りたい人と送る人をつなげ、効率的に荷物の輸送を行うことを可能にしたのである。
また、これによって、途上国で特に問題とされる交通渋滞の課題も解決できる可能性がある。効率的に荷物を配置できることによって、必要なトラック等の総数が減り、交通渋滞の問題も少しは軽減できる可能性を秘めているからである。
Swifty
ガーナ発のスタートアップであるSwiftyも同様に、荷物を送りたい人と、荷物を運ぶ人をマッチングするサービスを提供している。
創業者の Edem Dotse氏によると、UberやAirbnbのように、車の開いてるスペースや、空いてる部屋を貸し出すことができるのであれば、船便や、空輸、トラック輸送の際に空いているスペースも有効活用できれば無駄がなくなるのにと考えたことがきっかけでSwiftyを起業した。
Swiftyはガーナ国内のユーザーだけでなく、海外展開も前提に事業展開を行っている。
Bifasor
ブルキナファソ発のスタートアップのBifasor。このサービスでは、登録された物流会社がオンライン上で顧客を獲得するのを手助けする。また顧客の管理ができるように登録された物流会社にはダッシュボードが提供される。
それらサービスに加えて、上述したサービスと同様に、空いているスペースをマッチングするサービスも提供している。
ブルキナファソの中小企業クラスの物流会社の約90%はオンライン上でのリーチはなく、マーケティング活動も行っていない。Bifasorがオンライン上で顧客やパートナーを探すことができる場を提供することで、今までできていなかった、オンライン上での顧客獲得を可能にしている。
Senga
アフリカはケニア発のスタートアップであるSengaは、荷物を送りたい人と、トラックや貨物トラックのマッチングをするサービスである。荷物を送りたい人は、ドライバーが配達しているエリアへの配送であれば、配送した商品、引き渡し場所、時間を記載すれば、トラックドライバーが取りに来てくれ、配送をしてくれる。
Sengaは一つ一つの商品の取引を見える化し、需要、供給がどれだけあるのかをデータとして保持し、それらを利用することによって物流の効率化を目指している。
Fastvan
Fastbanは南アフリカ発のスタートアップで、オンデマンドで荷物を送りたい人と、送る人をマッチングするサービスである。送りたい人は、送る荷物と送り先を入力すれば、物流会社各社の見積もりが表示される。物流会社を選択し、発送したい日を選択すれば、配送担当者が取りに来てくれ、配達を行ってくれる。その後、配達が完了するまで、配達状況をトラックすることができ、配達完了すれば通知がくる仕組みになっている。ユーザーが安心して利用できるような仕組みになっている。
Acuantuo
Acuantuoはガーナ発のスタートアップで、かなり面白いサービスを展開している。海外旅行するユーザーの空いてるかばんのスペースに荷物を預けて、その旅行者に運んでもらうというサービスである。
商品を送ってもらいたい側は商品をAcuantuoのプラットフォーム上に登録し、支払いを済ませ、Acuantuoに登録されたユーザーとマッチングすれば、実際にその旅行者個人に商品を渡し、配達されるという仕組みである。
物流会社に頼むのではなく、個人に商品配達をお願いすることができることで、通常よりかなりの低価格で商品を輸送することが可能になる。
まだ、個人にお願いするのは抵抗があるかもしれないが、今の若者にとって当たり前となりつつあるシェアリングーエコノ三―の概念。個人のバックの中の空いてるスペースを利用するこのサービスがどのように受け入れられるようになるのかはとても気になるところだ。
最後に
アフリカに来れば分かるが、まだ、舗装されていない道路が多く、道幅もそこまで広いと言えない道路状況の中である一方で、対外国の中古車輸入の台数が増えている。その理由としては、まだまだ公共交通機関が発達しておらず、通勤、通学において自動車という選択肢しかないからである。結果として毎日出勤、退勤時の時間になれば大渋滞が発生してしまうのである。
これらの状況は荷物を運ぶトラックにとっては致命的で、一度にできるだけたくさんのモノを、効率的に運ばなければ、大きな機会損失、タイムロスになってしまう。そのような課題をシェアリングエコノミーで解決しようしている。インフラがすぐに整わない中で、いかに異なる方法で課題を解決するか。シェアリングエコノミーが新たな解決策となりつつある。