ルワンダ版PASMO!公共バスの利用をより便利にするAC Group
日本の都市部では、交通電子マネーで改札を通過するのは当たり前。一度その便利さに慣れてしまえば、行先までの運賃を調べて毎度切符を買うのは非常に不便に感じる。
バスに乗る際も同様で、現金で払うことは可能だが、小銭を両替してピッタリの額を機械に投入していると、後ろに列ができてしまう。
日本では交通網の発達から大分遅れて、交通電子マネーでの運賃支払いが一般的になった。
アフリカでは、国によって交通事情は異なるが電車が通っていない国がほとんどで、乗り合いバスが主な交通手段という場所が多い。
公共交通網が発達するより先に、決済システムが発展するという、新興国ならではの状況が各地で起きている。
今回は、現金での支払いが主だったルワンダの運賃決済事情を飛躍的に改善したスタートアップ「AC Group社」を紹介する。
ルワンダ版PASMOで公共バスをより便利に
AC Groupは2015年にPatric Nsenga Buchana氏によって設立された。その後、2015年12月よりTap & Goサービスを開始した。2018年にはルワンダ国内でTap & Go Card/WiFi/Appの3サービスをリリースした。日系企業では、DMM.comが出資を行っている。
AC Groupは『人と都市をつなぐテクノロジーシステムを作成・設計するアフリカの顧客中心企業になる』ことをビジョンとしている。
『Tap & Go Card』は、ルワンダ政府と共同で行っている事業で、ルワンダの公共バスで利用できる電子マネーのこと。バスに乗車する際、車内に設置されている機械にこのカードをかざすことで料金を支払うことができ、現金で運賃を支払う必要がなくなる。カードは1枚500Rfw(約0.5ドル)で販売しており、オートチャージの機能も備わっている。いわゆる、ルワンダ版のPASMO(交通系ICカード)だ。現在、ルワンダの首都キガリ以外でも使用可能範囲を拡大しており、カメルーン国内やケニアの首都ナイロビにも市場を広げている。また、バスの運賃以外にも商店やレストランでの支払いとして使える場所も増えてきた。
『Tap & Go WiFi』はバスの乗客に無料のWiFiを提供するサービスで、現在はキガリを走る450台のバスすべてに搭載されており、毎日30万人が利用している。
スマートフォンアプリ『Tap & Go App』では、モバイルマネーからTap & Go Cardのチャージ、カードの残高の確認、カード紛失時の再発行ができる。また、アプリからバスチケットを予約購入することができ、オンラインで発行されるQRコードで乗車できる。
電子マネー普及による経済効果
・現金を使わないことにより、人件費削減に繋がる。
・現金は紛失した場合、自分の元へ戻ってくることは厳しいが、電子カード化することにより、再発行が可能となる。
・釣り銭がないなどのハプニングが起きない。
・バス乗務員による売り上げ横領などの不正を未然に防ぐことができ、信用の向上に繋がる。
・電子マネーを使うことで路線ごと、時間ごとの利用率や混雑率を把握することができ、ビッグデータとしてそれを活用することで、新しいサービスの開発に繋がる。
会社名 | AC Group ltd. |
設立年 | 2015年 |
創業者 | Patrick Nsenga Buchana氏(ルワンダ) |
展開国 | ルワンダ |
領域 | フィンテック |
サービス | 公共交通機関の電子決済・アプリ・通信 |
解決する課題 | 支払いのシステムの利便性向上 |
独自の強み | 競合が少ない時点でシェアを拡大したこと |
調達金額 | 非公開 |
ウェブサイト | https://acgroup.rw/ |
連絡先 | info@acgroup.rw +250783716276 |
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