ガーナ発薬品卸mPharmaが1,700万米ドル調達、プラットフォームのさらなる拡大へ
mPharmaは2013年ガーナで起業した薬品卸のスタートアップで、現在はアフリカ5ヵ国に進出、50の病院、200以上の薬局と提携している。2020年4月に1,700万米ドルの資金調達を行ったと発表した。
アフリカで薬は「高級品」
薬が高すぎて入手できない、そもそも薬局が薬を揃えられず欠品続きという状況を改善するために、mPharmaは生まれた。欧米やアジアから輸入される薬は、市中の薬局に届くまでに多くの業者の手を渡ってくることで手数料・運送料・人件費…と経費がかさんでいき、最終的には製薬会社の販売価格の3倍の値段になることも珍しくない。結果、薬局にとっては薬の仕入れ値が高すぎて支払えず、薬のストックがほとんどないのが常だった。
そこでmPharmaは大手製薬会社と契約。まとめて薬を安く輸入し各薬局に届けることで、高すぎる仕入れ値の問題をクリアした。さらにmPharmaは無料で薬を薬局に提供、売れた分だけをmPharmaに支払うシステムを作った。売れて在庫が減ったり、薬の使用期限が過ぎたりした場合はmPharmaが新しいものを薬局に届ける。在庫を抱えるリスクを肩代わりすることによって、着々と提携する薬局の数を増やした。
実はここまでのビジネスは、mPharmaだけが行っているものではない。ナイジェリア発のスタートアップFieldは同じ事業で3万以上の薬局と提携を結んでいる。
必要な時に買える価格に
競合他社とmPharmaの最大の差は、薬局だけでなく患者とも契約を結ぶことにある。実は、正規の値段で薬品を取りそろえることが出来ても、まだ患者にとっては薬は高級品に変わりない。患者が買いたいと思う値段でなければ、薬局の棚に在庫が増えていく一方だ。
患者はMuttiカードと呼ばれる会員カードを作れば、薬局で薬の代金の一部を支払うことで購入でき、残りの代金はあとから少しずつ返すことができる。もちろんカードに年会費などはなく、薬代をきちんと払うことで現金のキャッシュバックを受けられる。本人や家族が病気のときは家にお金の余裕がないのは当たり前。ならば余裕のできた時に払ってもらおうというシステムだ。
これによって、今まで必要な薬を手に入れられなかった層にもリーチすることに成功した。
mPharmaは今回の資金調達を受けて、ガーナ・ケニア・ナイジェリア・ザンビアで250以上の薬局を利用しているプラットフォームのさらなる拡大へ充てるとしている。
会社名 | mPharma |
設立年 | 2013年 |
創業者 | Gregory Rockson(ガーナ) |
展開国 | ガーナ・ケニア・ザンビア・ナイジェリア |
領域 | ヘルステック |
サービス | 薬品卸 |
解決する課題 | 医療提供水準の向上・薬へのアクセス改善 |
独自の強み | 患者に対する会員制度 |
調達金額 | 1,700万米ドル(2020年4月) |
ウェブサイト | https://mpharma.com/ |
連絡先 | https://mpharma.com/about/#contact |