Mr.Green Africa アフリカのごみ集めの人達に経済的信用を与える
アフリカ、ケニアにあるコワーキングスペースNairobi Garageにて行ったインタビュー企画第四弾は、Mr.Green Trading Africaの創業者であるKeiran Smith氏である。アフリカのケニアにてMr.Green Africaというサービスを展開している。従業員数は50名、一度資金調達をしている。
早速ではあるが、彼の展開するサービスをひも解いていこう。
Mr.green Africaとは
Mr.Green Africaは2014年9月にKeiran Smith氏によって設立されたサービスである。このサービスでは、ケニアにいるごみ集めの人からリサイクル可能なプラスチックを適正な価格で買い取り、それらのリサイクル材料を企業向けに販売している。
アフリカをクリーンで、エコフレンドリーにするのを促進するのが彼らのサービスなのである。
スイス出身の彼は、初め銀行にて勤めた後、リサイクル関連会社に転職し、そこで、途上国におけるリサイクル市場の大きさに気づいたと言う。
現在、ケニアには集めたごみを売るインフォーマルなゴミ売り場があり、ごみ集めの人達はそこで集めたごみを販売していたという。
しかし、インフォーマルなこともあってか、集めたごみを安くで買い叩かれている現状があった。Keiran Smith氏は実際にそれらの現状を把握するためにごみ集めの人たちの一日に密着し、上記であげた課題を見つけたという。
Mr.Green Africaのサービス内容
Mr.Green Africaのサービス内容は上記で述べた通りではある。
ごみ集めの人から、適正な価格でリサイクル可能なプラスティックを買い取り、それらを企業に販売している。
現在はごみ集めの人から集めたものをそのまま企業に販売しているのだが、今後は一度洗浄したものを販売していくという。
ごみ集めの人からは1Kgあたり19ケニアシリングで買い取り、洗っていないものに関しては1Kgあたり35ケニアシリングで企業に販売している。
洗ったものに関しては、1Kgあたり50-70ケニアシリングで販売していく予定とのことだ。販売先開拓にも強く力を入れている。
また、ごみ集めの人から購入したプラスティックの購入記録を残し、それらをポイントとして可視化し、ごみ集めの人達にとってはそれらがクレジットポイント(信用ポイント)として蓄積される。
このポイントによって、継続的に収入を得ていることの証明になり、彼らがマイクロローン等を借りたいときの信用として利用できるようにしているとのことだ。
社内向けには、すべてのサプライチェーンを一目で把握できるダッシュボードがある。
そこでは、リサイクル材料の集積情報、そのリサイクル材料の配達先までのロジスティクスの最適化、ルート決定などを確認できるダッシュボードがあり、それを用いて販売先の決定、ルートの最適化を行っているとのことだ。
競合はいるのか
ケニアにおいてはノンプロフィットで支援している例はあるが、ビジネスとしてこれらの課題を解決しようとしている例はまだケニアにはないとのこと。
彼らの考えとしては、ごみ集めの人にとっての継続的な販売先となることで、彼らの経済的な自立を促し、社会にもインパクトを与えていきたいという思いがある。それらを実現するにはビジネスで解決する必要があった。
今までは、ケニアのナイロビ市内にいる400人のごみ集めの人達とのリレーション、オペレーション構築に時間をかけたが、これからリサイクル可能なものを洗浄する機械への投資をしていくとのことだ。
また、現在はプラスティックのみの対応だが、他のリサイクル可能商品にも対応していくとのことだ。
最後に
ごみ集めの人にとっての信頼できる販売先を確立したこと、さらに、それらの取引記録を残すことで彼らに信用ポイントを与えているところがこのサービスの強みであるように感じた。
SMEs向けに少額のローンを組むことを可能にするサービスが数多く出てきているケニアにおいて、信用ポイントを与えるということは自立を促し、彼らビジネスを持続可能にしていくことを可能にするという点で大きなインパクトがある。
これがこの事業をビジネスとして行っている理由で、そうでなければこのようなモデルは組めなかったであろう。
今後、リサイクル可能商品の洗浄を行う機械を導入し、ますます付加価値を高めていくことになる。
ケニアでのオペレーションが確立すれば、他国にも進出していくとのことであった。今後も社会に大きなインパクトを与え続けていくことになるだろう。