アフリカのガス配達スタートアップPAYGO ENERGYが143万USドルの資金調達

11月 28, 2017資金調達オンデマンド,ケニア

アフリカはケニア発のスタートアップPAYGO ENERGYがNovastar Ventures、Energy Access Ventures、Village Capitalなどから、総額143万USドルの資金調達を実施した。

今回の調達では、更なるユーザー獲得、スマートメーターのソフトウェア、ハードウェア開発に資金を充てていくという。

PAYGO ENERGYは、調理用のガスを家庭に届けるサービスである。日本ではガス会社と契約し、それらのガス会社のガスタンクからガス管を通って一般家庭までガスが供給されている。しかし、アフリカなど途上国では、各家庭で大きなガスボンベを購入し、そのガスボンベをコンロにつなげることによって、ガスが供給され、料理をすることができるようになる。

アフリカなど途上国では各家庭に上記のようなガスボンベがあり、コンロにつなげられている。

なので日本とは、ガス供給の仕組みがまるっきり異なるのである。そのため、アフリカ等途上国では、ガスがなくなれば、また新しくガスボンベにガスを補充してもらい、家まで持ち帰ることが必要になる。ガスを得るためにかなりの手間がかかるのである。

PAYGO ENERGYがアフリカで提供するサービスとは

上述したガスボンベに関する問題を解決しようとしているのがPAYGO ENERGYなのである。オンライン上で、必要な量のガスを選択し、モバイル上で必要な分のみの支払いを行えば、PAYGO ENERGYが家までオーダーした量のガスが入ったガスボンベを運んでくれる。そのガスボンベには、スマートメーターと呼ばれるものがついており、そのスマートメーターがガスの残量の管理をしてくれるのである。また専用のガスコンロも提供される。

そもそもガスはいつ切れるかがわからないため、通常、ガスが切れてからガスを扱うお店に連絡して調達するのが普通である。しかしそのやり方だと、ガスが切れた当日にガスを調達できるかどうかもわからない。しかし、このサービスでは、ガスの減りがある一定量を超えると、PAYGO ENERGYに通知が行くようになっており、その通知をもとにまた新たなガスボンベが配達される仕組みになっている。

まだ約3億人もの人がガスにアクセスできていない

CEO​の​Nick Quintong​氏によると、まだ世界的に約3億人の人が、一般的に調理の際に用いられているガスではなく、炭や灯油などの燃料を使って調理をしているという。実際、ケニアの低所得層の人達は、安全でなく、健康に害を与える可能性のある炭や灯油を燃料として調理しており、そもそもガスを使用していない人が大部分を占めているのである。しかも、毎日それらの調達のために約0.5USドル使っていて、それらは彼らの収入の大部分を占める出費になっている。

彼らにとって、ガスに移行できない大きな理由は、ガスコンロにかかる初期費用と大きなガスボンベの保管場所、そして、ガスがなくなればガスの補充をしなければならないのだが、一般的にガスは満タンまで補充されるため、それに対して支払うことができない。そのため、毎日自分たちが一日に必要な炭、灯油を買って調理を行うしか選択肢が限られていしまうのである。

PAYGO ENERGYの目的は、そのような​人達にも、調理に必要なガスを供給することである。同社ではガスコンロの導入は無料で、ガスも必要な分だけの支払いをすれば家まで配達してくれる。また、スマートメーターによって、ガスの残量の管理を自動でしてくれるので、急にガスがなくなる可能性もなくなる。つまり、多くの人にとってガス移行へのネックとなっていた、ガスコンロの調達と、ガスの補充にかかる工数、そして費用の問題を解決したのがPAYGO ENERGYのサービスなのである。

すでにガスで調理をすることができているユーザーだけでなく、まだガスによる調理ができていない人へも販路を広げていく。今後も多くの人が安全なガスにアクセスできる仕組みを築き上げていく。