ケニアのショッピングスタイルを変革するモバイルコマース「Sky.Garden」Isaac Hunja氏へインタビュー
ケニアでは、インターネット普及率の高さに伴って、スマートフォンの利用ユーザーも増加傾向にある。
そんな中、従来のケニア人のショッピングスタイルを変革するサービスが登場した。
それが「Sky.Garden」である。
AF TECHが主催するケニアスタディツアーでも訪問予定の「i Hub」に入居するB2Cオンライン販売プラットフォームを提供するケニアのスタートアップだ。
2018年2月に120万米ドルの資金調達を実施し大きな話題となった。
今回は、Sky.GardenのCMOであるIsaac Hunja氏にSky.Gardenに関してお話をお伺いした。
ケニアのFacebookグループを拝見していると、Facebookグループ上で、商品売買が盛んにとり行われているのを目にする。
彼らは、リアル店舗だけでなく、FacebookやInstagramを活用することでオンライン上で商品販売を行っているのだ。
彼らにとってSNS上で販売することが普通なのだ。
しかし、そこにはもちろん課題が存在する。
Facebookにてオンライン上で活発に売買が行われていること。
そこに着目し、彼らが抱えていたペインポイントを解決するサービスが「Sky.Garden」だ。
配送・在庫管理機能を提供し、リアル店舗での商品販売と変わらない設計
Sky.GardenはケニアでB2C向けのオンライン販売プラットフォームを提供している。
衣服、電化製品、コスメ、スポーツウェアなど様々なカテゴリーで商品をオンライン上で販売することが可能になるサービスだ。
出品者は登録する際に、名前、メールアドレス、電話番号、店舗の住所を入力することで登録が完了する。
出品者にはそれぞれ個別のショップURLが付与され、自社のオンラインショップURLを保持することができる。
そのURLをフォロワーを多く抱えるFacebookやInstagram、Twitterへ貼り付けることで、自分のオンラインショップへ誘導することができる仕組みとなっている。
既存の販売手段をうまく代替し、告知という観点でうまく融合している。
ただし、それだと既存のSNSでの販売とあまり違いがないように思える。
Sky.Gardenを利用するメリットは何なんだろうか。
「Sky.Gardenでは出品者に対して決済機能、配送機能、在庫管理機能の3つを提供しています。7000ものビジネスオーナーにヒアリングを行った結果、彼らがリアル店舗で売るような感覚でオンラインでも販売できるのであれば利用したいと言う声がたくさんありました。」
多くのショップオーナーはFacebook、Instagram、WhatsAppといった様々なSNSを駆使し、商品販売を行っているが、多くのサービスを利用しているが故に、販売をする度に売買記録をとり、在庫管理、カスタマーサービスなど、それぞれのSNSに応じて追加で行う必要がある。
Sky.Garden上では、商品を掲載する際にその商品に関する説明、価格の表示、値引きキャンペーンの期間や詳細の設定など一度設定すればすべて自動で行ってくれる。
商品が売れた後の在庫管理も自動で行ってくれることが出品者にとって大きなメリットになっている。
また、商品が購入された後に、Sky.Garden側で配送の手配も行う。
自ら配業者に連絡することは必要なく、配送業者を店舗で待ち、商品を受け渡せば購入者のもとへ商品が届く。
商品が消費者の元に届けばすぐに出品者の※M-PESAに販売代金が入金される。これでキャッシュフローに困ることもない。
※電話回線を利用したお金の送金サービス。今やM-PESAケニアのGDPの半分を超える流通額となっているほど全国民に浸透しているサービス。
出品者は自分のビジネスに集中することが可能になる。
その点で、出品者にとって、Sky.Gardenを利用することはリアル店舗で商品を販売するのとあまり変わらず、出品者にとってスケールしやすい仕組みになっている。
オンラインでの販売が初めての人にとっても、動画でサービス利用ガイドをを提供することで初心者でも安心して利用することができるサポートを行っている。実際にリアル店舗まで赴いて、利用ガイドの説明も行っている。
それだけでなく、Sky.Gardenが発行するブログや、定期的に配信するニュースレターで、オンライン上で販売するうえで重要になるTipsや、他の出品者のSky.Gardenの活用方法などを紹介している。
現在Sky.Garden上には、3500以上の出品者が登録されており、出品者数は月次で20%の増加を続けている。
そのうち、一か月の内にプラットフォーム上で実際の取引を行うアクティブな出品者数はおおよそ300に上る。
購入から5時間以内に配達が完了する配送手配の仕組み
出品者にとって、配送を手配していただけることは自分のビジネスに集中することができる点でとても効果的だ。
しかし、どのように配達員を迅速に手配し、配達を行っているのだろうか。
「配送処理をスムーズに行うために、大小様々なバイク便会社と提携しています。購入が行われる度に、配送部署の担当者が出品者にもっとも近いバイク便業者の責任者に連絡し、受け取り場所の住所、受け取り商品の詳細、配達先の詳細を伝え、バイク便ドライバーを手配してもらっています。現状、購入から5時間以内に配達を完了するオペレーションを構築することができています。」
Sky.Gardenでは、オーダーがあるたびに。その出品者の近くを活動エリアとしている配送業者の責任者に連絡し、その責任者が実際に配達員を手配する。
手配ができたタイミングでSky.Gardenに連絡が届き、バイク便ドライバーの情報、到着予定時間が出品者、購入者両方に自動的に連絡される。
バイク便ドライバーが店舗に赴き、出品者から商品を受け取ると、Sky.Gardenによるメールでの連絡だけでなく、バイク便ドライバーが直接購入者に配達する旨と到着時間を口頭で伝える仕組みになっている。
この配送における一連の取引の70%以上が社内システムで自動化されており、それぞれ出品者、購入者、配達業者へ必要となる情報が自動的送信される仕組みになっている。
商品の購入から平均5時間で配達が完了するというのだから驚きだ。
このSky.Gardenにとってカギともいえる配達業者は自社で抱えるのではなくアウトソースしている。
「我々のサービスを説明して理解していただいた配達業者のみと提携しています。配達員はSky.Gardenにとって顧客の顔になる唯一の存在なので、2種間に一度配達ドライバーをトレーニングする研修を行っています。」
Sky.Gardenでは、配達業者はアウトソースする代わりに、研修を行うことで、Sky.Gardenの品質に見合う配達ドライバーの教育を行っている。
Sky.Gardenは配達業者をアウトソースする代わりに、配達時のマニュアルや、マナーを徹底的に教育しているのだ。
出品者をうまく活用したプラットフォームへの集客方法
Sky.Garden上での出品者に関する説明を行ってきたが、購入者はどのように獲得しているのだろうか。
大きく分けて二つの方法で顧客を獲得している。
一つは、出品者に対してショップの独自URLを付与することで、出品者がすでに抱えているSNSユーザーにリーチしてもらう方法。
二つ目は、Sky.Gardenと出品者が協力して、「ファッションウィーク」といったキャンペーンを行い、オンライン広告と出品者によるSNSでのアナウンスを通じてプラットフォーム上への集客を行う方法。
主に上記二つを駆使して、プラットフォーム上への集客を行っている。
また、出品者にSky.Gardenのマークが記載されたステッカーやTシャツを付与し、訪問したお客様に対してSky.Gardenに対する認知を高めてもらう活動を出品者に行ってもらっている。
出品者への手厚いサービスが、出品者自ら利用者を集客する活動につながっているのだ。
購入者による評価と自社カスタマーサービスによるダブル評価制度
では実際にプラットフォーム上に流入した消費者が購入を決めるには何が重要になるのか。
ケニアにおいて、商品を購入する際に最も重要視されるのが「信頼」である。
偽の商品も多く出回っていることから、そういった商品に対する不信感がとても強い。
Sky.Garden上では、購入者による評価とSky.Gardenのカスタマーサポートによって算出される評価制度が購入を決めるうえで大きなポイントになっている。
Sky.Garden上では購入者は商品を受け取った後に、出品者を評価する仕組みとなっている。
「商品の質、満足度はいかがだったのか。」
「スムーズな取引が行われたのか」
次に購入する方がが参考になるように評価を入力する必要がある。
また、Sky.Gardenのカスタマーサービスによる出品者の内部評価も行われている。
Sky.Gardenが手配したバイク便のドライバーがお店に到着したにも関わらず、商品の配送の準備ができていなくて多くの時間を待つ必要があったり、異なる商品を渡されて、返品作業をおこなわなければならなかったといったことがあった場合など、一連の取引を通じて、配送業者に確認を取り、Sky.Gardenのカスタマーサポート内でも出品者の評価が行なわれている。
購入者、Sky.Gardenによる評価が実際にプラットフォーム上に表示される評価に反映される。
評価が低いと、Sky.Garden上での商品掲載の優先度が低くなり、トップに表示されなくなったり、注目プロダクトとして表示されないなど、きちんと取引を行う出品者が正当化される仕組みになってる。
ケニアの未来のショッピングスタイルを変革する
Sky.Gardenは倉庫も配送も自社で抱えず、商品のオンライン販売を可能にするソフトウェアを提供することで、ケニアのショッピングスタイルの変革に挑んでいる。
今後ケニアでモバイル化がますます進むことを考えると、ニーズは大きくなっていくばかりだ。
Sky.Gardenはケニア内でサービスを拡大した後、近隣国である東アフリカ地域へとサービスを展開し、将来的には、南アフリカ、西アフリカへもサービスの進出を検討している。
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AF TECHでは現在、今回のインタビュー先である「Sky.Garden」が入居するインキュベーション施設である「I Hub」を訪問するビジネス視察と、現地スタートアップでのインターンシップを組み合わせた実践型スタディツアーの募集を行っています。
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