Umati Capital ファイナンスを通じてアフリカのサプライチェーンにおける課題を解決

5月 24, 2018対談ケニア,フィンテック

今回紹介するのはアフリカはケニアにあるコワーキングスペースNairobi Garageにオフィスを構えるUmati Capital。そのカントリーマネージャーであるPatrick Huang氏にお話をお伺いさせて頂いた。

Umati CapitalはアフリカにあるSMEsに対してお金のレンディングを行うスタートアップである。

大きな特徴としては、サプライチェーン全体の取引をスムーズにするために、バイヤーに対してお金をレンディングしている点が挙げられる。

早速ではあるが、Umati Capitalのサービスについて詳しく見ていこう。

Umati Capitalとは

Umati capitalは2012年にIvan Mbowa氏とMunyutu Waigi氏によって設立されたスタートアップである。

SMEsに対して、お金のレンディングを行っている。

通常小売業界においては、小売(スーパーマーケット等)、バイヤー(加工業者等)、供給者(農家)が存在している。どの取引もスムーズにいかなければ、実際に商品が販売される小売店までたどり着かない。

これはどの国にも当てはまることかもしれないが、バイヤーとしては、仕入れた商品が実際に売れお金が入ってくるまで、仕入れ代を払いたくない。

極力リスクを抑えたいというのが、バイヤー側の思いだ。

そのため手形を発行し、後払いで対応していることが多い。

一方で、農家(供給者)側からすれば、販売した商品に対して、すぐにお金を回収することができなければ、次の事業への投資、収穫にかかるお金などを工面できない。

この両者における支払いのギャップによって、ケニアでは、供給者である農家が存続することができなくなったり、存続が難しくなるといった人が増えるという悪循環に陥っていたという。

そこで、Umati Capitalでは、バイヤーの代わりに、供給者に対してお金を先に支払うことで、供給者は次のシーズンのための準備にかかるお金をすぐに用意することができる。

バイヤー側に対しては120日以内に返済してもらう仕組みになっている。

手数料は貸し出し金額の3%で、30日毎に3%づつ増えていく仕組みになっている。30日以内に返済すれば、借りたお金+3%の手数料で済む。

詳しくは以下の動画を確認していただきたい。

このサービスによって、サプライチェーン全体に良い循環を与えている。供給者(農家)-加工業者間であったり、加工業者-商人間など、全体のサプライチェーンのファイナンス面をサポートすることによって、サプライチェーンのどこかが滞ってしまうといったことはなくなるだろうとのことだ。

どのようにそれぞれの支払いの管理を行っているのか

支払いの管理はすべてデジタルで行っているとのことだ。これにより、すべての取引は可視化される。

供給者側(農家)が携帯でシステムに登録し、バイヤー(加工業者、商人等)がverificationコードを供給者に送る。

そうすることによって売買取引が可能になる。

供給者が販売したものはすべて、バイヤー側のアプリに取引記録として残るようになる。

供給者側にはそれらすべての販売の請求書が記録される。

それらの請求書をUmati Capital側がすべて確認し、確認が取れれば、city prepaid cardというUmati Capitalと提携されている口座、もしくはモバイルマネーアカウントにお金が振り込まれるとのことだ。

どのようにユーザーを獲得しているのか

Umati Capitalは大手小売りチェーンや、供給者に対してサポートを行っているNGOと提携しており、それらの取引先、関係者などから顧客の開拓を行っているとのこと。

彼らのサプライチェーン配下にある取引先に営業をかけ、サプライチェーン全体の効率化、支払いギャップによる遅延をなくすことをファイナンスを通じて解決したいというのがUmati Capitalの目指すところだ。

Umati Capitalの競争優位としては、供給者に対して、お金を貸すのではなく、バイヤーに対してお金を貸すことによってサプライチェーン全体に影響を与えている点だ。

供給者(農家)に対してお金を貸すサービスもあるが、それでは、サプライチェーン内で起こっている問題の根本的解決にはならないと考えているからだ。

最後に

ケニアに何万と存在するSMEs。

このサービスによって、SMEs、そしてサプライチェーン全体が最適化され、ますます取引を促進していくことになるだろうと強く感じた。

通常のレンディングではなく、サプライチェーン内の健全な取引を促すことが、自社サービスの利用を促すという好循環になっていることも大きなポイントであろう。

供給者、バイヤー両方がWinWinの関係になることで、今後も健全な取引環境構築にさらに拍車をかけることを期待したい。