じげんが中古車事業でアフリカ進出!事業責任者に直撃インタビュー!Vol.2
前回のインタビュー記事では、じげんのアフリカ中古車輸出事業Car Tana(カタナ)のサービス内容や仕組みに関して詳しくお伺いした。
今回のVol.2では、インタビュー後半戦として、現地企業との提携に至る苦労、どのように提携に至ったのか、当事業が掲げるビジョンについてお伺いした。
前回のインタビュー記事をまだ読んでいない方は以下のインタビューから読んでいただきたい。
じげんが中古車事業でアフリカ進出!事業責任者に直撃インタビュー!Vol.1
アフリカなどの途上国で事業をしようと志している人は必見の内容である。
「いかに現地企業の人と協力関係をつくるのか」「アフリカで事業を推進するうえで大切なことは何なのか」
引き続き、じげんのアフリカ中古車事業責任者、小澤様のアフリカでの事業展開についてのインタビューを紹介する。
インタビュイーのご紹介
前職では車の買い取り、販売を行う会社が買収した先で約2年の代表経験を経て、じげんにジョイン。じげんではかねてから海外向けの中古車輸出事業を展開したいという小澤様の思いと、中古車輸出事業経験時の人脈、そしてじげんのグローバル戦略も相まって責任者として当事業の指揮を執っている。
「Car Tana(カタナ)」の事業内容
高品質な日本の中古車を求める海外ユーザーと海外に中古車販売したい輸出会社や中古車販売店を繋ぐ中古車輸出プラットフォームを展開する。同プラットフォーム上で、ユーザーは最新の国内中古車販売情報を一括検索・お問い合わせができる。特にケニア向けには「自動車ローン」を組み、分割払いできる仕組みを提供している。
詳細なビジネスモデルは以下である。
一筋縄ではいかない!?現地企業との提携
ケニア現地の複数社との提携によって実現した今回の事業ですが、どのように提携まで至ったのかお聞きしたいです。
やはり前職の人脈がきっかけではあります。その人脈を通じて紹介してもらったアリオスファイナンスの代表とは、半年以上前に初めて日本側でお会いして、その場で意気投合し、「じゃあやりましょう」となりました。
ただ、じげんとしても前例のない座組みでの海外企業との提携・契約だったので、お互い慎重に進めていたところはあります。細かい条件面の調整に時間がかかり、契約を結ぶまでに3ヶ月ほどかかりました。
ただそれでも3ヶ月は結構早い方かなと思っていまして、前職でアフリカの企業と契約の締結をするときにも同じくその場で「契約しようぜ」という話になったんですけど、「うちも上場企業だから法律面の調整もあるし待ってね」と言って日本に帰ってきてから交渉をして、結局6ヶ月くらいかかったんですよ。
それが今回は半分になっているので、そういう意味ではすごくいいパートナーさんを紹介していただいて、提携することができたなというのはありますね。
「一緒にやろう」ってなったからといって油断は禁物で細かいところまで詰めて、合意して、契約が締結して初めて提携が実現したと言えると思います。
現地の企業とはどのように連絡を取っていたのですか。
基本的にはWhatsApp(日本で言うLINEのようなメッセンジャーツール)がメインですかね。他にも最短でレスポンスもらえるようにタイミングに合わせていろいろツールは変えて連絡を取っていましたね。実際、レスポンスは時差がありながらも、とても早くいただけました。
たとえば今日のこのタイミング(午後2時くらい)だと、ケニアでは早朝くらいなんですけど、連絡しておくと、日本の夕方ごろ、ケニアでは午前中くらいののタイミングでレスポンスが必ずいただけて、助かりました。
個人的にはアフリカの人はゆったりと言いますか、マイペースに仕事をするイメージがあったので自分のイメージとは異なりました。
自分もザンビア行ったときは、国の上層部の方と会うみたいな形でもともと数ヶ月前からアポもとって、時間は午前中の10時で、場所もここと決めてたのに、当日の10時になっていってみたらアポの場所にはいなくて、連絡がつかず。
10時過ぎてちょっとしてからやっと電話で連絡がついて、「どこにいるんだ」といったら、「40キロくらい離れたところにいる。こっちだったら会える」と言われまして…(笑)
「いやいやいや」と思ったんですけど、結局セスナ(小さい飛行機)でその人がいるところまで移動して会うといったこともありました。
それはとんだ災難ですね。ちなみにセスナ機っていくらぐらいしたんですか?
セスナ機は当日券だったので往復で20万くらい払ったんですよ。それで死ぬ思いして行ったみたいなことがあったので、ある程度海外側との取引、契約とかはハードルが高いし、簡単に行くものではないというのが分かっていました。
現地の会社との交渉を進めるうえでうまくいくように工夫したことやコツなどはありますか。
メインの交渉は私ではなく、もう一人、もともとアフリカで車を販売していた者が担当しています。かなりパワフルな人間でして、とにかく人の懐に入るコミニケーション能力はずば抜けたものがあります。
交渉のコツと言えるほどのものではないかもしれませんが、向こうからの連絡に関しては当然、向こうの時間に合わせて適切なタイミングでレスポンスするということと、現地に長けた人に直接交渉をしてもらうことの2つがポイントなのかなと思います。
実際紹介してもらった会社さん、例えば今回で言うアリオスファイナンスさんとのアイスブレイクはどのような形だったのですか。
私の知り合いにアフリカ出身の方がいて、その人にアリオスファイナンスの社長を紹介していただきました。
その人も輸出関係の会社を経営しているので、タンザニアはもちろんのこと、ウガンダとかザンビアとかケニアに中古車を輸出していて、東アフリカにある関係会社に幅広く人脈をお持ちなんです。
ですので、「彼の友達だったらウェルカムだね」という感じで、特にアイスブレイクというようなステップを踏まず、いきなり本題に入りまして、交渉はとてもスムーズに進みました。
「こういう進め方で考えているのだけどどうだ」と言ったら、「こっちのほうがいいからこうしたらどうか」という形ですぐに話し合いができて、「お互いできるようだったらやろうよ」と話が運びました。
一方で今後の国内側での提携の方針に関して教えて下さい
カタナが実現しようとしている新しい中古車輸出プラットフォームの仕組にご賛同いただけるような中古車関連会社の方々との提携を積極的に進めていきたいと考えています。
というのも前例のないことですので、提携先にとっても1つのチャレンジになりますし、時にハードルが高く抵抗を感じるのもやむを得ないことです。
ご提案にお伺いする際には、いつも「カタナを通じて中古車輸出をこんなふうにご支援させていただきたい、このチャレンジに賛同いただけませんか」という形でお話しています。
少しずつ共感していただける方の輪も広がってきていますが引き続き粘り強くプラットフォームを育てていきたいと思っています。
現地でのポータルサイトのプロモーションはどのように行っているのでしょうか
そうですね。まずはSNSやインターネット広告といったオンラインでのプロモーションを中心に行っています。
ようやくファイナンスサービスを提供できる仕組みも整ったので今後は現地でのプロモーション活動も本格的に開始していきたいのですが…
ご存じの通り大統領選挙が続いていますので、そこが落ち着いてからかなと思っています。ケニアの現地にいる人と話していてもとても危険な状態にあると伺っています。
現地の人もスーパーに行って買いだめして、選挙期間中は外出しないそうで。
勝手なイメージなんですけど向こうの人ってあんまり検索しないイメージがあったのですが
最近では、ケニアのスマホ普及率もかなり上がってきていて、スマホから検索する人が増えてきています。それでもまだまだ現地では停電になる確率がすごい高いじゃないですか。
インターネット広告以外にテレビCMも検討しましたが、ちょうど停電している時間帯にCM放映予定だったら予算が台無しになってしまうだけなので断念しました(笑)
日本だとキーワードの掛け合わせで検索する人が多いんですけど、海外の方の検索方法が日本とは異なっていて、最初はそこをとるのは大変かなと思ったんですけど、意外と効率よく流入してきている印象ですね。
やはり現地の人も、自動車など大きな買い物はちゃんと検索して品定めしてるのですね
そうですね。現地の人にとっては、自分の車の購入はまさに人生をかけた買い物、ライフイベントに等しいと思います。どのくらいが相場なのか、どの会社で買うべきなのかなど慎重に検討されています。
アフリカ向けの中古車関連サイトが数多くある中で、信頼していただけるための努力は怠ってはいけないと思います。
信頼を得るために行っていることの1つは現地企業と提携していることをサイトで発信することです。
また、今年の5月のテストマーケティングでは、お問い合わせをいただいたユーザーの75~80%はローンを組んでの中古車購入のお問い合わせでしたので、やはりそこのターゲット設定、アピール手法は間違っていなかったという感触です。
最後にアフリカ進出に関してのビジョンを聞かせてください
日本のマーケットもまだまだ伸びしろはありますが、海外、特にアフリカなんかは2050年には今の人口が倍になるといいますし、経済状況もより良くなるという予測も出ており、比べ物にならないくらいのポテンシャルを秘めていると思います。
そんななか現地側での日本の中古車ニーズは相当高まってくるのかなと考えています。
引き続き現地の中古車関連企業と強固なパートナーシップを組んで、メンテナンスなど中古車購入後のアフターサービスにも力を入れて事業をグロースさせていきたいと思っています。
また、単に事業として成長させていくということだけではなく、私たちはこの事業の先のユーザーの生活や人生をより良いものにできたらと願ってやみません。人生の選択肢が車を起点に広がっていけばいいなと。
じげんは「生活機会の最大化」をミッションに掲げ、「人々がより良く生きるための選択肢」を提供すべく生活における様々な領域でサービスを展開してきましたが、まだまだ事業が支援できる先は国内にとどまっています。
アフリカでは公共交通機関が乏しく、車はより生活レベルを向上させていくために不可欠なものです。
我々のプラットフォームを利用することによって車が手に入り、「どこどこに行ってみよう」「車を使ってこういう事業をしよう」というようにわくわくするような次の人生のステップが生み出されていったらうれしいですし、今後、そういうストーリーを日本に届けられたらなと思います。