GRACIA FORMER CONSULTING アフリカのスタートアップの採用を支える
今回はアフリカはケニアのコワーキングスペース、Nairobi Garageにてオフィスを構える企業家の方たちにインタビューをさせていただいた。その記念すべき第一弾が、GFCの代表であるAngie Garcia Forner氏である。
そもそもなぜケニアで起業したのか
スペイン出身の彼女は大きくビジネスが動く環境でビジネスがしたいとのことから、イギリスにある大手コンサルティングファームで働いていた。特に、HR、ファイナンスの領域で15年にわたって、クライアントが求めるサポート、コンサルテーションを提供してきた。人生の転機はケニア人男性との結婚であった。結婚し、子供も授かり、幸せな人生を送っていたAngie Garcia Forner氏であるが、結婚と共にケニアに移り住むことになった。市場的に見ても、ケニアは人口も伸びていて、おもしろいスタートアップもどんどん出てきている。一方で、それらのスタートアップや、創業したての会社にとって、HRに関することや、ファイナンスに関してはまだまだ手つかずの会社が多いということにいろいろな人と話していく上で感じたという。今までの経験を活かして、こちらでもビジネスを行える。それが彼女が自分で起業した1つの理由であった。しかし、そのようなサービスを提供している会社に就職するわけではなく、自分で起業したというのには他にも理由がある。それは「時間」である。
前職の上司はすごく一生懸命に働き、朝から晩遅くまで仕事にすべてを注ぐ人であったという。もちろんそういう人がいてもいいとは思うのだが、彼女もそうなりたいかと言われれば、なりたいというわけではなかったという。彼自身は仕事にすべてを注ぐ人ではあったものの、彼女自身は、しっかりと自分のプライベートの時間も確保し、家族と過ごす時間も人生においてとても重要なことの一つであった。
ましてや、結婚し、子供も授かり、仕事だけでもなく子育てなどでもっと大変になる中で、会社に勤めた場合は、ある程度柔軟に時間を確保できないと思ったという。一方で起業という選択であれば、すべては自分の責任になるので、休みをとったとしても、自分でしっかりと結果を出していれば、誰にも文句は言われない。今までの経験を活かせ、時間をうまく活用できるという点も、自分で起業をするという決断に至ったきっかけだったという。
また、この領域においては、大手コンサル会社が、スタートアップに対して、コンサルを行うのは難しいであろうと考えたのも、自分で起業するきっかけであった。資金的にまだまだ余裕がないし、一度コンサルをお願いすれば、1年や2年など長期間に渡ってコンサルが行われるようになる。そもそもまだ創業したての会社やスタートアップにとって、急に事業が変わったりすることは全然ある。そのような会社に対してHR、ファイナンス領域のメンターとして柔軟にサービスを提供できることは競争優位になり得ると考えたからだ。
具体的にはどのようなサービスを提供しているのか
まだまだ規模の小さい会社やスタートアップに対してHRに関するいかなるサービスを提供している。それらはクライアントの状況、ニーズを理解し、それらの状況、ニーズにあったサービスを提供している。まだ創業したてのスタートアップであれば、会社の価値、意義を再定義したうえで、どのような人材が必要か、どのような戦略を組んでいけばいいのかなど、メンターとしてクライアントと一緒になって最適解を探していく。
さらには、人材の評価システムの導入や、採用プロセスの改善など、HR領域に関して幅広く、そして柔軟に対応している。クライアントの要望によっては、マネージャクラスのポジションの人材をヘッドハンティングし、紹介するなど、幅広くサービスを展開しているのが特徴だ。また、期間に関しても何カ月、何年という契約ではなく、プロジェクトごとに必要な時だけ、必要な期間メンターとして、企業の成長を支えてくれるので、お互いにWinWinの関係で成り立っているのもポイントだ。頂く費用に関しては、プロジェクト、期間によって異なる。
集客に関しては、最初は知り合いの会社から始め、今では口コミで広がり、多くのクライアントからお声を頂いているという。
最後に
実際に彼女と話してみると分かるのだが、すごく情熱に溢れていて、気さくな方という印象を受けた。ケニアという地で、自分で起業をするということの難しさに関しては彼女も熟知していたはずだ。それでももう自分でやってしまおうという潔さ、そして、すべての責任を背負い、自分で自分の時間を確保しているかっこよさにとても惹かれた。
彼女との話の中で、もう仕事を辞めるという概念は存在しなくなるだろうという話が印象的であった。AIがどんどん仕事を自動化し、人間はいかに自分のアイデアを考え、それを実行に移していくか。奪われると考えるのではなく、どうやって共存して仕事をしていくのか。これらとは今後現実的に向き合っていかなければならないことになるであろう。
もう、仕事を辞めるという概念はなくなっていく社会になる(日本であれば、今の若者がおじいちゃん、おばあちゃんになったときに年金だけで生きていけるとは限らない。むしろ年金が支給されるのかも分からない)中で、いかに自分の時間を確保し、生きていく金を得るのかに関しては、彼女自身が体現している、自分で起業して、すべての責任を持ったうえで自分で体現すればいい。自分が選ぶ道に関しては絶対に後悔しない道を選ぶべきだと強く感じたインタビューであった。