アフリカはナイジェリア発スタートアップが展開する会話型EコマースBuyChat
ナイジェリアをはじめこれから大きな発展が期待される途上国において、オンデマンドデリバリーサービスは非常にマッチしたビジネスであるように思える。その理由は大きく分けて3つある。
1つ目は、スーパー等商品を買える場所に行きたいが、車の渋滞がひどく(15分でいけるところに1時間以上かかったりする。)行こうにも行けないし、そもそも行きたくない。
2つ目は、スーパーに行ったのはいいものの、かなり混雑している上に、レジのオペレーションが日本のように高速ではないので、さらに待ち時間が発生する。
最後の3つ目が、労働賃金が安いので、デリバリーを担当してくれる方を比較的安く、大量に雇用することができる。車ではなく、バイクでの配達をすることによって、渋滞を回避することができる。
大きく分けて上記3つの理由でオンデマンドのデリバリーサービスは途上国に非常にマッチしており、大きなニーズがあると考えている。
そこで今回紹介したいのは、ナイジェリア発のチャットベースで、商品の値切りから購入までを行えるBuyChatというサービス。マーケットでの渋滞によるストレスを取り除いた会話型のEコマースである。
会話型EコマースのBuyChatとは
buyChatはナイジェリアにおいてチャットベースのEコマースサービスを提供している。このサービスの特徴的な点は、いわゆる、有名なブランド等の商品だけでなく、ナイジェリアの地元のマーケット一つ一つの店舗と提携し、それらの店舗の商品をチャットベースで購入できるところにある。
当初はbalogunmarket.ngというウェブサービスを提供しており、このサービスは、ナイジェリアに実際にあるbalogunマーケットにおいて、ウェブ画面上にWhatsAppで使用している電話番号を入れれば、WhatsApp上で商品の購入ができていた。これによって、混雑したマーケットに行く必要もなければ、数多くある店舗を探しまわる手間も省ける。このサービスにインスピレーションを受け、アプリ上でチャットから、商品検索、値切り交渉のすべてを一本化し、チャットによる会話形式のEコマースを実現したのがBuyChatというサービスなのである。
BuyChatのアプリ上での購入方法は簡単で、欲しい商品をアプリ上で探し、アプリのチャット上で、欲しいものをチャットで伝えれば、支払い画面に行き、支払いを行えば、商品が家まで配達される。また、チャット上では商品の値切り交渉もすることができる。複数個買うので少し安くしてくださいといった、実際にリアルの店舗で行うことをそのままオンラインのチャット上でもできるのである。
設立者であるOlayinka Oluwakuse によると、ナイジェリアのEコマースは確かに発展してきているが、それらは主に規模が大きな店舗にフォーカスして商品の取り扱い範囲を広げている。そのため、地元のマーケットにある小さな店舗はおいてきぼりにされいた。そこで、小さな店舗に焦点を当て、彼らの最も使うインターフェイスであるチャットによる注文を可能にすることで、注文までの障壁を最小限にしている。それによって顧客は購入まで至っているという。
BuyChatでは衣料品などはもちろん、食料品の注文も可能で、家まで配達してくれる。さらにはタクシー、ショートステイ限定のホテルの予約、国内フライトの空席確認、予約をすべてチャットで行うことができる。
収益モデルは商人、顧客の両方から数パーセントのコミッションを徴収する。また、顧客の購入データ、販売データなどのデータを取得し、今後のビジネスにつなげていくとのことだ。
現在はまだ、ベータ版での利用のみだが2017年2月には正式版がリリースされる予定だ。BuyChatは今後、アフリカのその他の都市にも進出を検討しており、最終的にはアフリカだけでなくアフリカ国外の国にも進出を検討している。
最後に
ナイジェリアのような途上国では、その地域特有の問題があり、その問題を解決するようなサービスが続々と出ている。日本では都市であれば、大体徒歩圏内にスーパーマーケットはあるし、コンビニも数メートル単位で店舗があるので確実に機能しないと思うが、ナイジェリアにおいては必須のサービスになりうる可能性は十分にある。
ナイジェリアのように途上国であるほうが、モノを購入する際にリアルの店舗に訪れるのではなく、オンデマンドのデリバリーサービスや、Eコマース、BuyChatのようなチャットベースで商品の注文を行えるサービスなど、リアル店舗ではなく、オンラインの店舗上での購入が一般的になってきている。これからは途上国発のイノベーションによる、リバースイノベーションの流れがどんどん出てくるのではないかと日々わくわくしている。