マークザッカバーグ氏も訪問したケニアの流通スタートアップ「Twiga Foods」
アフリカの広大な大地を利用した農産物市場。アフリカでは人口12億人の内、約6~7割の人が農業従事者だといわれている。
半数以上が農業従事者であり、彼らは農産物を売ることによって生計を立てている。
そんな農家の状況を逆手にとり、悪質な中間業者が農産物を安く買い叩き、物流を担う会社に販売もしくは、直接小売に卸している。
農家は適切な市場価格を知らないため、買い取り価格が安いのか高いのかもよくわからない。
しかし、買い取ってくれる業者に頼らなければ生活ができない状況だ。そんな悪循環が農業従事者を悩ませていた。
今回は上記課題に注目し、ケニアで流通という切り口で課題解決に取り組んでいるTwiga Foodsというスタートアップを紹介する。
農業従事者の課題を解決するBtoBプラットフォーム
Twiga foods。ケニアでモバイルベースのBtoBの農産物流通プラットフォームを展開するスタートアップである。
このスタートアップが解決するのは、農業従事者の不安定な収入と、販売先の確保だ。
農業従事者の不安定な収入に対して、Twiga Foodsは農業従事者から質の高い農産物を一括で買い取ることで安定した収入を保証している。
また、支払いサイクルに関しても農業従事者にとってメリットがある。
通常、卸業者からの支払いは1か月後や2か月後であることが多く、農家は次の作物を仕込むための十分なお金を確保できないという問題があった。
Twiga Foodsは農業従事者への支払いサイクルを他の卸業者より早くすることで、農業従事者が次の作物にお金を回すことができるようにしている。
Twiga Foodsにとっては農業従事者が継続的にプラットフォームを利用してくれることで仕入先が安定するという仕組みだ。
販売先の確保に関しても、農家に代わってTwiga foodsが営業をかけ販売先を開拓しているため、他社よりも安く安定した価格で販売業者に卸すことを可能にしている。
農家と販売業者、Twiga foodsと3者間においてWinWinWinの関係になる仕組みを確立している。
Twiga Foodsは当初バナナの卸販売から初めており、今までで累計2億房のバナナを販売している。すでに取引先は2600社にも上る。
マークザッカバーグ氏も注目するスタートアップが大型の資金調達
Twiga foodsのファウンダーであるGrant Brooke氏はもともとバナナの研究者として有名で、バナナの知見を活かしてビジネスをできないかと考えていた。
それがビジネスとして形になったのが上述したBtoB農産物プラットフォームを展開するTwiga Foodsだ。
Grant Brooke氏はケニアではかなり有名な人で、Facebookの創業者であるマークザッカバーグ氏がケニアに訪問していた際に、彼に会っていたことが話題になった。
ファウンダーであるGrant Brooke氏がサービスに関して話している動画がアップロードされていたので、英語ではあるが、興味のある方は是非。
また最近では、Twiga FoodsがシリーズAラウンドで約10億円の大型調達を実施し話題となった。アフリカ内スタートアップの中ではかなり大型の資金調達になる。
このシリーズでは、Wamda Capital、Omidyar Network、DOB Equity、Uqalo、1776、 Blue Haven Initiative、Alpha Mundi、AHLからの資金調達であった。
今回調達したお金は、さらなる販売業者の獲得と、プロダクトレンジを広げるために利用するとのことだ。
最後に
ケニアにおいて、バナナの消費量がどれほどあるのかわからないが、企業HPによると顧客の92%を獲得と記載されているので、バナナにおいてはほぼ独占状態といっても過言ではない。
ケニアに滞在してまだ日は浅いのだが、まだTwiga foodsの商品を見たことがないのが少し疑問ではある。
しかし、今回の10億円の大型調達、さらにはアフリカ内の約7割の人が農業従事者ということから考えると、ケニアの農産物の流通市場はかなり大きいのは間違いないだろう。
またそこに重大な課題を抱えているからこそ、Twiga Foodsのようなスタートアップの存在意義があるのだろう。