アフリカのローカルビジネスを活性化させるスタートアップ3選
アフリカには、多くのローカルビジネスがある。それらは、服のクリーニングのみを行っていたり、野菜を販売していたり、電気周りの修理だけを専門に行っていたりする。基本的に規模は小さくずっとそのビジネスを生業として親子代々小さくビジネスを継続しているものがほとんどである。
しかし、実際にアフリカに住んでみて困ることは、例えば、家の電気が壊れた時、電気屋さんを営む現地のアフリカ人に連絡して、家まで来てもらい修理を行ってもらわなければならない。この際に、問題になるのがどうやって探すのか。言葉は通じるのか。サービスの質はどうなのかの3点である。
一つ目のどうやって探すのかに関しては、小さな店舗で運営していることがほとんどなので、もちろんWebサイトが必ずやあるとは言えない。と言うよりほとんどない。そのため、町中で見かけた看板をもとに電話をかけるか、友人に紹介してもらうなどアナログな方法でコンタクトをとるしか方法がない。
二つ目の言語は、通常その国に住む現地の人向けにサービスを行っているので、英語を話せない方が多くいる。問題の詳細を伝えたくても、伝えられないといったことはよくある話である。
最後に、一番重要なサービスの質、そして彼らは安全な人かどうかの担保である。サービスの質はちゃんとしたものもあれば、ちゃんとしてないものも存在する。これに関しては一度利用してみないと分からないのでかなりの工数がかかることになる。また安全面においても重要である。見知らぬ地で知らないアフリカの現地の人に家に入ってもらって修理を行ってもらうことは当然リスクも存在する。日本のように、どの事業者もある一定の質、安全面は担保されているといった状況ではなく、その事業主によって大きく差があり、またそれらの細分化されたローカルビジネスを営む人がたくさんいるのがアフリカの特徴なのである。
これら上記の課題を解決しようとアフリカでも多くのスタートアップがサービスを展開している。特にアフリカの国々など、途上国では、ある一定の質を担保できているサービスプロバイダーのみをのせるプラットフォーム型のサービスを展開するスタートアップが多くみられる。それらはある一定の質を担保したホテルを厳選していたり、いわゆる上記で述べたような電気屋さんやクリーニング屋さんをのせていたりする。今回はそんなローカルビジネスを活性化させるアフリカのスタートアップを3つ紹介する。
アフリカ発のローカルビジネスを活性化させるスタートアップ3社
kitulu
kituluとはアフリカのナイジェリア発のスタートアップで、ファウンダーであるMohammed Olokoによって設立されたサービスである。
サービス内容は、ドライバー、クリーナー、アーティスト、カメラマンなど、一定の基準を満たし、バックグラウンドチェックを通過したサービスプロバイダーのみをユーザーのニーズに合わせてマッチング、もしくは雇用を可能にするサービスである。サービスプロバイダーに対して、オリエンテーションの実施、指紋情報の登録を行うことで、ユーザーに対して、安全なサービス提供を可能にしている。
ファウンダーであるMohammed Olokoによると、カメラマンや、クリーナー、アーティストなどが提供するサービスをもっと簡単に利用できるようにしたかったのが一つと、サービスプロバイダー側に対しては自らのスキルを十分に生かし、マネタイズの助けになれるようなプラットフォームを提供したいと考えたことから、このサービスのリリースに至っている。オンラインでの支払いにも対応しており、サービス利用から支払いまでシームレスに取引が完了する。
SweepSouth
SweepSouthはAisha R. PandorとAlen Ribicによって設立された南アフリカ発のスタートアップである。SweepSouthは南アフリカのSiMODiSAが提供するピッチコンテストにて受賞し、見事2カ月間のネットワーク拡大、資金調達のためのシリコンバレー行きの切符を獲得している。その後、最初のシードラウンド期に南アフリカを拠点とするNewton Partnersより投資を受けている。また、2015年には、シリコンバレーを拠点に置く、500 startupsが主催するアクセラレータープログラムにも参加している。
SweepSouthのサービス内容も、上記のKituluと同様に、オンデマンドでクリーナーのマッチング、手配までをオンライン上で行ってくれるサービスを提供しているスタートアップである。リビングやキッチンはもちろん、バスルームやベッドルームのクリーニングも行ってくれる。また、追加で料金を払えば、電子レンジの中や、ひどく汚れた換気扇など、少し特殊なクリーニングも担当してくれるのがSweepSouthのサービスの特徴である。もちろん、登録されているクリーナーはすべてバックグラウンドチェックが行われている。また利用者からの評価によって、クリーナーのランクがつけられる。利用者からすれば、レビューを確認すればある程度そのクリーナーの評判を確認することができる。いわゆる、Uberのクリーニング版と言えばわかりやすいかもしれない。
Okazi
最後にこちらも同様南アフリカ発のサービスで、起業の支援を行うRLabに所属するmarlon ParkerとGaston ParkerによってリリースされたサービスがOkaziである。
このサービスは、ローカルのクリーナーやドライバーなどのあいてる時間を他の会社、個人でも利用できるようにするといったサービスである。上記で紹介したサービスとは異なるアプローチでローカルビジネスを活性化させようと取り組んでいる。一般的には南アフリカでは、クリーナ-の場合、朝一番早くに来て、オフィス内の掃除をする。しかし、それらの掃除が終わった後には、ほとんどメインの仕事は存在せず、ただの待ち時間となるのが彼らのルーティーンである。その空いてる時間を他の会社での掃除のお仕事として有効活用できるようにするのが、Okaziなのである。クリーナーを雇っている会社に対して、一時的にそのクリーナーを利用したい会社、もしくは個人が、クリーナーを雇っている会社に対して支払いを行うことで、サービスを利用できるようになる。クリーナー側からしても今まで待ち時間で終わっていた時間を有効活用することができ、なおかつ、お金を稼ぐことができるということもあって両者にとってWinWinなプラットフォームとして展開されることとなる。
南アフリカでは約60%がローカルビジネスから成り立っているといわれており、それらのローカルビジネスを活性化させることが、ビジネス、経済の良い循環になっていくことは間違いない。試験的に、このサービスを既存のWatsAppなどのメッセージングツールを利用してサービス展開したところ、20のビジネスとの取引があり、実際に取引高は16000USDにもなったとのことである。現在はWebアプリも開発し、アプリ上でサービスを利用することができるようになっている。
最後に
いかがだったでしょうか。今回紹介したサービス以外にもあらゆる方法でローカルビジネスを活性化させるプラットフォームを展開するスタートアップが増えてきている。プラットフォーム化することによって、今まで水道なら水道担当、電気なら電気担当の人といちいちそれぞれの連絡先を探し、来てもらわないといけなかったものの、オンライン上にカテゴリーごとに安心、安全なサービスプロバイダーが掲載されているので、必要な時に数タップで修理屋さんを呼ぶことができるのである。
個人的に興味があるのは、上記で紹介した2つのサービスとは異なり、サービスプロバイダーの空き時間を利用して他の場所でもサービスを提供することを促すOkazi。確かに彼らにはかなりの待ち時間が発生するし、その時間に何もしていない様子を見ていると、この時間に何か他のことができるのではないかと考えることは普通である。それをうまく仕組み化しようとしているのがOkaziで、他のサービスとは少し違った観点からアプローチしているOkaziが今後どのようにサービスを拡大していくのか、とても気になるところである。