アフリカはケニア発のフィンテックBitPesaは国際送金において主流になれるか

11月 26, 2017注目スタートアップケニア,フィンテック

アフリカのフィンテック市場は皆が驚くほどに先を行っている。アフリカのケニアではM-PESAというサービスが主流になっている。これはUSSDと呼ばれる電話通信で使われる回線を利用することでお金を送金することができるサービスである。現在M-PESAは個人ユーザーを中心に利用されており1700万人のユーザーがいるといわれている。ケニアの人口が約4500万人なので3人に1人はM-PESAを利用している計算になる。ケニアなどアフリカ諸国では携帯電話の所持率は70%と高く、ほとんどの国民が携帯電話を持っている。ただし一方で、銀行口座を持っていない人は数多く存在し、彼らにとっての銀行口座がM-PESAなのである。このようにアフリカにおいては日本がとってきたステップを一切とらず、その国に適したニーズで面白いサービスが生まれているのである。今回紹介したいのは、M-PESAと同じくフィンテック市場で戦うBitPesaと言うサービスである。このサービスではブロックチェーン技術を利用したビットコインを用いて早く、安く国際送金を可能にするサービスを展開している。今回はそのBitPesaを詳しくご紹介したい。

現地通貨で国際送金を可能にするBitPesaとは

東アフリカ地域では国際送金のコストが最も高いといわれている。その一方で、海外へ出稼ぎに出る人が多く、お金の送金のニーズはとても高い。通常、国際送金では国内送金と比べ、高額な送金手数料がかかる。また、それらの送金が完了するまでに、1時間から1週間程度の日数が必要になる。いくらすぐにお金の入金が必要でも、現在の銀行による国際送金ではそれを可能にすることはできない。

アフリカのケニアに拠点を置く、BitPesa(ビットペサ)はElizabeth RossielloとDuncan Goldie-Scotによって2013年に設立された会社で、国際送金をビットコインを使って行うことを可能にするサービスを提供している。現在はウガンダ、タンザニア、コンゴ、ナイジェリア、コンゴ共和国、セネガル、イギリス、中国にもサービスを展開している。

BitPesaはいったいどんなサービスなのか


Bitpesaを使用すれば、国際送金をビットコインで行うので、送金から着金に至るまで、ほんの20分程度で完了する。

BitPesaの仕組みは、例えば、中国の企業がケニアに拠点を置く会社にお金を送金したい場合、中国通貨を現地にあるBitPesaのブローカーに送金する。そのブローカーが中国通貨をビットコインに変換し、ケニアにある支払い先の会社に送金する。そのビットコインの取引を確認するのに10分程度かかり、取引の確認が取れれば、送金されたビットコインをケニアの通貨に変換し、その企業に支払うという流れになる。この取引の際にBitPesaが徴収するのは、ビットコインから、法定通貨へと変換する際に3%の手数料を頂いているのみで、送金手数料は一切取っていないのが特徴的である。企業はBitPesaと提携しているブローカーに現地通貨で送りさえすれば、後はBitPesa上でビットコインに変換され、支払い先の企業がある国の通貨でお金が送金される。

今ままでの、銀行による国際送金では、送金手数料など多くの手数料がとられ、さらには着金までにかなりの時間がかかっていたが、BitPesaを使用すれば安く、早く、現地の通貨のままでお金を送金することが可能になる。また、アフリカ諸国などの途上国においては、クレジットカードや銀行口座を持っていない人たちが数多く存在し、彼らにとっての新たな送金手段ともいえるのである。

現在、BitPesaは、ケニア、ナイジェリア、ウガンダ、タンザニア、コンゴ共和国、セネガル、イギリスにおいてサービスを展開している。さらに最近では、中国とアフリカ間の取引額が2013年時点で170億USドルと多くなっていることから、中国にもサービス展開し、中国のモバイルマネーネットワークからの支払いも可能にしている。かつて存在していた銀行というものを介さずに、ネットワーク上で簡単に支払いができるようになるのである。

最後に

BitPesaは先日、シリーズAラウンドで250万USドルを調達した。それらは、アメリカに拠点を置く、 Draper VC、Greycroft Partners、Digital Currency Group、Blockchain Capitalなどらによってリードされた。BitPesaは設立から4年以内で、総額600万USドルを調達したことになる。今回の調達では、西、南アフリカ方面へもサービスを拡大するために利用される。今後もサービス範囲の拡大を続けることとなる。いずれ、日本に進出する日が来るのもそう遠くはないかもしれない。